行政書士 過去問
令和7年度
問52 (基礎知識 問6)
問題文
ジェンダーと平等に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
(注)*雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
(注)*雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
行政書士試験 令和7年度 問52(基礎知識 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
ジェンダーと平等に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
(注)*雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
(注)*雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
- 英国では、19世紀末から20世紀初頭にかけて、参政権を求めて女性たちが抗議活動を行い、厳しい取締りを受けた。
- 米国では、1969年に、同性愛者らが集まるとされる特定のバーへの取締りを機に、同性愛者らによる抗議運動が起きた。
- 日本では、2019年に、性暴力に反対するフラワーデモが各地で行われ、多くのひとたちが集まった。
- 国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW:Committee on the Elimination of Discrimination Against Women)は、日本政府に対して、女性が婚姻後も婚姻前の姓を実質的に保持できるよう、法律を改正することを勧告した。
- 日本の男女雇用機会均等法*では、妊娠や出産を理由とする解雇は禁止されていない。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (2件)
01
ジェンダーと平等の歩みを、各時代の社会情勢と法制度の進展を関連付けて整理します。
妥当である
【イギリスの選挙法改正の歴史】
1832年 制限選挙のまま
<1837年 チャーティスト運動(選挙権を得られなかった労働者が、普通選挙を求めて行った運動)>
1867年 都市労働者へ参政権拡大
1884年 農村労働者へ参政権拡大
<女性の選挙権獲得運動が高まる。>
1918年 男性(21歳以上)と女性(30歳以上)に参政権を拡大
1928年 成年男女(21歳以上)による普通選挙が実現
チャーティスト運動を経て、19世紀末から20世紀初頭にかけては、女性の選挙権獲得運動が高まりました。
請願活動や集会、署名運動などを通じて、法的な手段で女性の権利を獲得しようという考えを持つ団体がある一方、サフラジェット(suffragette)という、爆弾テロやハンガーストライキなど、過激な手段で活動した女性団体もありました。
妥当である
1969年6月、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」への警察の立ち入り捜査をきっかけに、性的マイノリティによる大規模な抗議活動が行われました(ストーンウォールの反乱)。
この暴動は、LGBTQ+解放運動や性的マイノリティの人権運動へつながる転換点とされ、ストーンウォール暴動のあった6月は、「プライド月間」として国際的に認知されるようになりました。
妥当である
フラワーデモは、2019年、日本で性暴力に関する無罪判決が相次いだことをきっかけに、不当判決と性暴力に抗議する目的で始まりました。
参加者が花を手に集まるこの社会運動は、性暴力の根絶と司法のあり方の改善を求めて、社会を変えていくためのデモとして日本全国に広がっています。
妥当である
女性差別撤廃委員会(CEDAW)とは、女性差別撤廃条約の実施状況を審査する国連の機関です。
2024年、8年ぶりに日本政府の対面審査が行われ、2016年の勧告以降、結婚年齢の格差解消や、女性の再婚禁止期間廃止を実現する法改正などを評価しました。
一方で、委員会は過去3度にわたり「夫婦同姓」を定める民法改正の必要性を指摘していることを踏まえ、「女性のアイデンティティーや雇用に悪影響を及ぼしている」と指摘し、今回も最重要項目に指定しました。
妥当でない
「解雇は禁止されていない」としているところが誤りです。
男女雇用機会均等法*は、労働者が性別により差別されることなく、また女性労働者は母性を尊重されつつ、充実した職業生活の充実を図ることを基本的理念として定めています(男女雇用機会均等法*2条)。
男女雇用機会均等法*
(基本的理念)
第2条 この法律においては、労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあつては母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする。
2 事業主並びに国及び地方公共団体は、前項に規定する基本的理念に従つて、労働者の職業生活の充実が図られるように努めなければならない。
なお、女性労働者の婚姻・妊娠・出産、産前産後休業の請求・取得などを理由として、解雇やその他不利益な取扱いをすることを禁止しています。
また、妊娠中や出産後1年以内の解雇は、事業主が「妊娠・出産が理由ではないこと」を証明しない限り無効とされます。
(男女雇用機会均等法*9条)
男女雇用機会均等法*
(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
第9条 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。
参考になった数3
この解説の修正を提案する
02
本問は、ジェンダーと平等に関する国内外の歴史的事実・社会運動・国際機関の勧告・国内法制度を横断的に問う問題です。一見すると幅広い教養知識が必要に見えますが、解答の決め手は実定法(男女雇用機会均等法)の基本的な条文知識にあります。
妥当である
19世紀末から20世紀初頭にかけて、エメリン・パンクハーストらが率いる「サフラジェット」と呼ばれる女性たちが参政権獲得のために激しい抗議活動を展開しました。逮捕・投獄・ハンガーストライキなど厳しい弾圧を受けながらも運動を継続し、1918年に一定の要件を満たす女性に、1928年に男女平等の普通選挙権が実現しています。
妥当である
1969年6月、ニューヨーク市グリニッジ・ヴィレッジにあったゲイバー「ストーンウォール・イン」への警察の取締りをきっかけに、同性愛者らによる大規模な抗議運動(ストーンウォールの反乱)が発生しました。この事件は現代のLGBTQ+権利運動の起点とされ、毎年6月に世界各地で開催される「プライド月間」の由来でもあります。
妥当である
2019年3月、性犯罪に関する無罪判決が相次いだことをきっかけに、性暴力に反対し被害者に寄り添う意思を示す「フラワーデモ」が全国各地で展開されました。花を持ち寄って集まるという穏やかな形式ながら社会的関心を大きく高め、2023年の刑法改正(不同意性交等罪の新設等)への議論を加速させた一因ともなりました。
妥当である
CEDAWは、女性差別撤廃条約の実施状況を監督する国連の委員会です。日本の夫婦同氏制度(民法第750条)について、実態として約95%が夫の氏を選択しており事実上女性に改姓を強いているとして、婚姻後も婚姻前の姓を保持できるよう法改正を行うことを繰り返し勧告しています(2016年、2024年等)。最高裁は夫婦同姓制度について合憲判断を維持していますが(最大判平成27年12月16日)、国会への立法裁量を指摘しており、憲法第14条(平等権)・第24条(婚姻の自由)との関連で引き続き論点となっています。
妥当でない
男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)は、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについて、第9条第3項で妊娠・出産・産前産後休業の取得等を理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止、第4項で妊娠中および産後1年以内の女性労働者に対する解雇の無効を定めています。なお、労働基準法第19条も産前産後休業中およびその後30日間の解雇を制限しています。
学習ポイント
・男女雇用機会均等法・・・第3項=不利益取扱いの「禁止」規定、第4項=妊娠中・産後1年以内の解雇の「無効」規定。この効果の違いを正確に区別できるかが問われます。関連して、労働基準法第19条(産前産後休業中の解雇制限)、育児・介護休業法第10条(育休取得を理由とする不利益取扱い禁止)との横断整理をしましょう。
・国際機関と国内法の関係・・・CEDAWの勧告には法的拘束力はありませんが、条約の履行状況に対する国際的評価として重要です。女性差別撤廃条約(1979年採択、日本1985年批准)→ CEDAWによる定期審査 → 対日勧告という流れを把握しましょう。
参考になった数1
この解説の修正を提案する
前の問題(問51)へ
令和7年度 問題一覧
次の問題(問53)へ