行政書士 過去問
令和7年度
問51 (基礎知識 問5)

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問題

行政書士試験 令和7年度 問51(基礎知識 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

経済に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
  • 需要曲線とは、ある財について、ある消費者が一定期間に消費したい量を、その財の価格の関数として描いた曲線を意味する。
  • 需要の価格弾力性とは、ある財の価格が1%上昇した際の、需要の減少率を意味する。
  • 機会費用とは、ある財の取引機会を利用するために必要な、取引相手の探索や条件の交渉などにかかる費用を意味する。
  • 完全競争とは、多数の生産者と多数の消費者が市場に参加しており、その結果として、個別の経済主体の行動が価格に与える影響が無視できるほど小さい状態を意味する。
  • 市場の失敗とは、ある財の市場において外部性が発生するなどの理由により、市場が効率性の達成に失敗する状態を意味する。

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この過去問の解説 (2件)

01

本問は、ミクロ経済学の基礎概念(需要曲線・需要の価格弾力性・機会費用・完全競争・市場の失敗)の定義を正確に理解しているかを問う問題です。行政書士試験の一般知識(政治・経済・社会)分野において、用語の定義を別の用語の定義にすり替えるという典型的なひっかけパターンが使われています。

選択肢1. 需要曲線とは、ある財について、ある消費者が一定期間に消費したい量を、その財の価格の関数として描いた曲線を意味する。

妥当である

需要曲線は、縦軸に価格・横軸に需要量をとり、「他の条件を一定としたうえで」価格と需要量の関係を描く右下がりの曲線です。本肢は「ある消費者の」個別需要曲線を説明しており、「一定期間に」「消費したい量」「価格の関数」という要素がすべて含まれているため、妥当です。

選択肢2. 需要の価格弾力性とは、ある財の価格が1%上昇した際の、需要の減少率を意味する。

妥当である

需要の価格弾力性は「需要量の変化率(%)÷ 価格の変化率(%)」で定義され、価格変化に対する需要量の敏感さを測る指標です。厳密には「減少率」ではなく「変化率の比率(絶対値)」が正確な表現ですが、通常の需要曲線が右下がりであることを前提とすれば、本肢の説明は試験レベルでは妥当です。

選択肢3. 機会費用とは、ある財の取引機会を利用するために必要な、取引相手の探索や条件の交渉などにかかる費用を意味する。

妥当でない

この記述は「取引費用(トランザクションコスト)」の定義であり、機会費用の説明として妥当ではありません。

機会費用とは、ある選択をしたことで断念した、別の選択肢から得られたはずの最大の利益を言います。

選択肢4. 完全競争とは、多数の生産者と多数の消費者が市場に参加しており、その結果として、個別の経済主体の行動が価格に与える影響が無視できるほど小さい状態を意味する。

妥当である

完全競争市場の要件は、①多数の売り手と買い手が存在する②財が同質(均質)である③完全情報が確保されている④市場への参入・退出が自由である

であり、文意から妥当と言えます。

選択肢5. 市場の失敗とは、ある財の市場において外部性が発生するなどの理由により、市場が効率性の達成に失敗する状態を意味する。

妥当である

市場の失敗とは、市場メカニズムに委ねるだけでは資源配分の効率性(パレート最適)が達成されない状態を指します。主な原因として、①外部性(正の外部性:教育など、負の外部性:公害など)②公共財の存在(フリーライダー問題)③情報の非対称性(逆選択・モラルハザード)④独占・寡占 などがあり、文意から妥当と言えます。

まとめ

学習ポイント

①定義のすり替えパターンに注意する

②混同しやすい概念をセットで記憶する

 

ミクロ経済学まで深く学習する時間はありませんが、一見しておくと落とさず得点できます。

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02

経済に関する問題です。本問では「妥当ではない」ものを選ばせる指示になっていることに注意してください。

選択肢1. 需要曲線とは、ある財について、ある消費者が一定期間に消費したい量を、その財の価格の関数として描いた曲線を意味する。

需要曲線は、縦軸に価格、横軸に需要量を描いた2軸のグラフで表現されます。

 

一般的に、価格が低下すると需要量は増加するため、需要曲線は右下がりの曲線を描きます。

(食品など、日常的に購入する商品をイメージしてもらうと分かりやすいです)

 

妥当な記述であるため、本問では不適切な選択肢となります。

 

※細かいことですが、直線でも「曲線」といいます。(プロットされた無数の点を線でつないでいるので、実際には直線ではないという理屈です)

選択肢2. 需要の価格弾力性とは、ある財の価格が1%上昇した際の、需要の減少率を意味する。

近年は物価の上昇が激しいため、値上げすると需要が減少することはイメージしやすいと思います。

 

妥当な記述であるため、本問では不適切な選択肢となります。

選択肢3. 機会費用とは、ある財の取引機会を利用するために必要な、取引相手の探索や条件の交渉などにかかる費用を意味する。

ある財の取引機会を利用するために必要な、取引相手の探索や条件の交渉などにかかる費用は取引費用といいます。

 

妥当ではない記述であるため、本問では正解の選択肢となります。

 

※機会費用とは、ある選択肢を選ぶことで他の選択肢を放棄しなければならない場合に、放棄した他の選択肢の中で最も価値の高い利益のことです。

選択肢4. 完全競争とは、多数の生産者と多数の消費者が市場に参加しており、その結果として、個別の経済主体の行動が価格に与える影響が無視できるほど小さい状態を意味する。

完全競争(市場)とは、売り手と買い手が無数に存在し、製品は同質的であらゆる情報が共有されており、参入障壁も退出障壁もない完全に自由な市場のことです。

 

どの製品も特徴がない(同質的)ために差別化できず、製品は価格を基準に売買されます。完全競争(市場)では、プライス・テイカー(価格受容者)とならざるを得なくなります。 その結果、個別の経済主体の行動が価格に与える影響が無視できるほど小さくなるため本問では不適切な選択肢となります。

選択肢5. 市場の失敗とは、ある財の市場において外部性が発生するなどの理由により、市場が効率性の達成に失敗する状態を意味する。

外部性が発生する」とは、市場に流通する財に政府が数量制限をかけたり、輸入品に関税をかけるなどして市場に介入することをいいます。

 

経済学では、売り手と買い手の市場原理に任せておけば市場の効率性が最大化するとされていますが、外部性が発生すると需要がある商品に数量制限がかかって市場に行き渡らない、関税が上乗せされて価格が上昇するなど市場が効率的でなくなります。

 

妥当な記述であるため、本問では不適切な選択肢となります。

 

※外部性の発生は他にもあり、公害の発生、独占/寡占市場、情報の非対称性(中古品の売買において、売り手が知っている情報と買い手が知ることのできる情報に量や質の面で差があることなど)などが挙げられます。

まとめ

【補足】

 

・参入障壁

ある企業が新規市場に参入する際に、参入を阻む要因のことです。逆に退出障壁は、ある企業が競争を諦めて撤退する際の要因のことです。

 

参入障壁の例としては、許認可などがあります。(許認可を取得するのに多額の費用がかかり、多くの書類を用意した上で何か月も待たなければいけないような場合は参入障壁は高くなりますが、その許認可が研修に1日参加するだけで取得できるようなものであれば参入障壁は高くありません)

 

退出障壁の例としては、既に投資してしまった費用などがあります。(少しでも費用を回収してから撤退しようとすると、その市場に留まろうとするインセンティブが働くため退出障壁は高い)

 

・プライス・テイカー(価格受容者)

反対語は、プライス・メイカー(価格設定者)です。売り手が限られている不完全競争(市場)である独占・寡占市場では、価格が高止まりしやすくなるのが特徴です。

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