行政書士 過去問
令和7年度
問38 (商法 問3)
問題文
取締役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
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問題
行政書士試験 令和7年度 問38(商法 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
取締役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 取締役会は、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項の決定を取締役に委任することができない。
- 株式会社の取締役は、自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をした場合には、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
- 取締役会を招集する取締役については、定款または取締役会で定めることもできる。
- 取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
- 取締役会の決議に参加した取締役が、当該取締役会の議事録に異議をとどめないで署名または記名押印した場合には、当該決議に賛成したものとみなされる。
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この過去問の解説 (3件)
01
取締役会に関する問題です。なお、本問では「誤っている」ものを選択させる指示になっていることに注意してください。
会社法362条4項5号に定めがあり、正しい記述のため本問では不適切な選択肢となります。
会社法365条2項に定めがあり、正しい記述のため本問では不適切な選択肢となります。
原則は各取締役が招集可能ですが、定款または取締役会決議により特定の取締役に取締役会を招集させることも可能です。(会社法366条1項)
正しい記述のため、本問では不適切な選択肢となります。
※過去問題では、代表取締役が招集「しなければならない」という出題パターンもあります。(勿論、誤りです)
会社法369条2項に定めがあり、正しい記述のため本問では不適切な選択肢となります。
取締役会決議は会社法369条に定められており、同条5項には「取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。」とされています。
誤りの記述のため、本問では正解の選択肢となります。
※「推定」と「みなす」の違い
みなす:反証できない(事実が違っても、法律上はそのように擬制される)
推定:あくまで推定で、反証できる(反証があれば覆る)
【補足】
行政書士試験において、「みなす⇔推定する」の混同を狙った問題がほぼ毎年出題されています。
そのため、試験対策上は「みなす/推定する」が出てきたら一旦疑う!というアラートを発動させるようにしておくと良いのかも知れません。
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02
本問は、株式会社の取締役会に関する会社法の基本規定(権限の委任、競業取引の報告義務、招集手続、特別利害関係人の議決権、議事録の法的効果)についての正誤を問う問題です。会社法369条5項は、取締役会の決議に参加した取締役が議事録に異議をとどめなかった場合、その決議に賛成したものと「推定する」と規定しています。
正しい
会社法362条4項5号は、「社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項」の決定を取締役会の専決事項として規定しており、取締役への委任はできません。社債発行が会社財務に重大な影響を及ぼすため、取締役会自身による意思決定が求められます。
正しい
会社法365条2項は、356条1項各号の取引(競業取引および利益相反取引の双方)を行った取締役に対し、取引後遅滞なく重要な事実を取締役会に報告する義務を課しています。競業取引についても事後報告義務はあります。
正しい
会社法366条1項により、取締役会は原則として各取締役が招集できますが、定款または取締役会の決議によって、招集権者を特定の取締役に限定することも可能です。
正しい
会社法369条2項により、取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができません。決議の公正を確保するための規定であり、当該取締役は定足数の算定基礎からも除外されます。
誤り
会社法369条5項の条文は、その決議に賛成したものと「推定する」です。「みなされる」という記載は誤りです。「推定する」であれば、取締役は後から「実際には反対していた」ことを証拠で立証すれば覆すことができます。「みなす」であればそのような反論の余地はありません。
この選択肢では「みなされる」としていますが、これは法律上全く異なる概念です。「推定する」は反証(反対の証拠)によって覆すことができますが、「みなす」は反証を許さない確定的な法律効果です。
以下の2つを復習しましょう。
①取締役会の専決事項を整理・・・重要な財産の処分・譲受け、多額の借財、支配人その他の重要な使用人の選任・解任、支店その他重要な組織の設置・変更・廃止、社債の募集に関する重要事項、内部統制システムの整備、役員等の責任の一部免除。
②特別利害関係の扱いの比較・・・株主総会では特別利害関係を有する株主も議決権を行使できる(ただし、著しく不当な決議は取消事由となりうる)のに対し、取締役会では議決に加わること自体が禁止される。
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03
取締役会の権限と運営について、条文を正確に理解しているかが問われています。
正
会社法
第362条
4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
五 第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
第676条 会社は、その発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集社債(当該募集に応じて当該社債の引受けの申込みをした者に対して割り当てる社債をいう。以下この編において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 募集社債の総額
正
(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)
第365条
2 取締役会設置会社においては、第356条第1項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
第356条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
正
会社法366条ただし書きのとおりです。
取締役会は、原則、各取締役が招集します。
会社法
(招集権者)
第366条 取締役会は、各取締役が招集する。ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。
正
(取締役会の決議)
第369条 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
誤
「みなされる」としているところが誤りです。
条文では、「推定する」と定めています。
「みなす」と「推定する」の違いについて、以下にまとめます。
・「みなす」・・反対の事実があったとしても、法律上、特定の事実があったものとして確定させること。確実な反証(反対を示す証拠)が提示されたとしても、その法律効果を覆すことはできない。
・「推定する」・・反証(反対の証拠)がないのであれば、ある事実をあるものとして仮定すること。反証が提示され、それが認められた場合には、その事実や法律効果を覆すことができる。
会社法
第369条
3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
5 取締役会の決議に参加した取締役であって第3項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
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