行政書士 過去問
令和7年度
問33 (民法 問7)

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問題

行政書士試験 令和7年度 問33(民法 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

消費貸借契約に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア  消費貸借契約は書面によっても行うことができるが、書面でする消費貸借契約の貸主は、借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解除することができ、解除によって損害を受けた借主は、貸主に対してその損害の賠償を請求することができる。
イ  金銭消費貸借契約の借主が、利息の支払を含む貸金返還債務を新しい消費貸借契約の目的とすることを貸主と合意したときは、これにより新たな消費貸借契約が成立するが、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合には、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる。
ウ  消費貸借契約は原則として利息の発生を伴い、無利息とするためには特約が必要である。
エ  消費貸借契約において、契約内容に適合しない物が借主に引き渡された場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、借主はその物の価額を返還することができる。
オ  消費貸借契約において返還時期の定めがない場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、貸主は借主に対していつでもその貸借物の返還を求めることができ、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負う。
  • ア・ウ
  • ア・エ
  • イ・エ
  • イ・オ
  • ウ・オ

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この過去問の解説 (2件)

01

消費貸借契約に関する問題です。

 

ア.消費貸借契約は書面によっても行うことができるが、書面でする消費貸借契約の貸主は、借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解除することができ、解除によって損害を受けた借主は、貸主に対してその損害の賠償を請求することができる。

 

貸主と借主を入れ替えた引っ掛け問題のため誤りです。正しくは、「書面でする消費貸借契約の借主は、貸主から消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解除することができ、解除によって損害を受けた貸主は、借主に対してその損害の賠償を請求することができる。」(民法587条2項2号)


イ.金銭消費貸借契約の借主が、利息の支払を含む貸金返還債務を新しい消費貸借契約の目的とすることを貸主と合意したときは、これにより新たな消費貸借契約が成立するが、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合には、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる。

 

→選択肢イ後段の記述(利息の約定の件)は、判例の通りで正しいですが、判例の知識がなくても常識的に納得できると思います。


ウ.消費貸借契約は原則として利息の発生を伴い、無利息とするためには特約が必要である。

 

→民法では、原則「無利息」で特約があれば利息を付けることができるため誤りです。

商法では、(商人間の契約のため)特約なしで利息を付けることができ、民法とは真逆です。


エ.消費貸借契約において、契約内容に適合しない物が借主に引き渡された場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、借主はその物の価額を返還することができる。

 

→「借主はその物の価額を返還することができる」とは、引き渡された現物ではなく、現物相当額の金銭で返還することができるという意味で正しい記述です。


オ.消費貸借契約において返還時期の定めがない場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、貸主は借主に対していつでもその貸借物の返還を求めることができ、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負う。

 

貸主はいつでも」ではなく、「相当の期間を定めて」返還の催告をすることができる(民法591条1項)ため誤りです。

※今まで返還時期を定めていなかったのに、突然「返還してくれ」と言われたら借主も困るはずです。常識的に、一定期間が経過してから返還の催告ができると解釈するのが自然です。

 

借主側も、判例上では催告期間経過後に履行遅滞に陥るとされています。

 

以上から、妥当な組合せは「イ・エ」となります。

選択肢1. ア・ウ

冒頭の解説より、妥当な組合せはであるため不適切な選択肢となります。

選択肢2. ア・エ

冒頭の解説より、妥当な組合せは・エであるため不適切な選択肢となります。

選択肢3. イ・エ

冒頭の解説より、妥当な組合せはイ・エであるため正解の選択肢となります。

選択肢4. イ・オ

冒頭の解説より、妥当な組合せはイ・であるため不適切な選択肢となります。

選択肢5. ウ・オ

冒頭の解説より、妥当な組合せはであるため不適切な選択肢となります。

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02

本問は、2020年4月施行の民法改正で大きく変更された消費貸借契約(民法587条〜592条)について、書面でする消費貸借の解除権、準消費貸借と利息制限法の関係、利息の原則、契約不適合物の返還、返還時期の定めがない場合の取扱いという5つの論点の正確な理解を問う問題です。

 

ア:民法587条の2第2項は「書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、その契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる」と規定しています。本肢は、解除権者を「貸主」、損害賠償請求権者を「借主」としており逆転しています。書面でする消費貸借において、目的物受取前の解除権を持つのは借主であり、損害賠償を請求できるのは解除によって損害を受けた貸主です。

 

イ:既存の金銭債務(利息を含む貸金返還債務)を新たな消費貸借の目的とする合意は、準消費貸借(民法588条)として有効に成立します。しかし、判例(最判昭和43年10月29日)によれば、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過している場合、その超過部分は利息制限法1条により無効であるため、準消費貸借という形式を用いても超過部分が有効になることはなく、その限度で新たな消費貸借契約は無効となります。

 

ウ:民法589条1項は「貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない」と規定しています。すなわち、民法上の消費貸借契約は原則として無利息(無償)であり、利息を発生させるには利息の特約が必要です。本肢は原則と例外が逆になっています。なお、商人間の消費貸借では商法513条により当然に利息が発生します。

 

エ:民法590条2項は「借主は、その物の価額を返還することができる」と規定しており、消費貸借において契約内容に適合しない物が引き渡された場合、借主は同種・同等・同量の物ではなく、その物の価額を返還することで足ります。この規定は利息付きか無利息かを問わず適用されます。

 

オ:民法591条1項は「当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて、返還の催告をすることができる」と規定しています。したがって、貸主は返還請求に際して相当期間を定める必要があり、借主はその期間が経過して初めて履行遅滞の責任を負うことになります。本肢の「直ちに履行遅滞の責任を負う」という記載は誤りです。。なお、借主の方は返還時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還することができます(同条3項)。

まとめ

2020年改正の最重要論点の一つと言えるでしょう。

①書面でする消費貸借の解除権・・・誰が何をできるか。

②消費貸借は原則無利息・・・原則無利息。商法との比較。

③準消費貸借と利息制限法・・・超過部分無効。

④契約不適合物の価額返還・・・その物の価額を返還。

⑤返還時期の定めがない場合・・・相当の期間。

記述式での出題もあり得ます。

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