行政書士 過去問
令和7年度
問32 (民法 問6)
問題文
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問題
行政書士試験 令和7年度 問32(民法 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
- Aが、Cに400万円を弁済するのに先立ち、Bに事前の通知をすることを怠った場合において、すでに弁済により共同の免責を得ていたBがAに事後の通知をしていなかったときは、Aは、Bに対して自己の免責行為を有効であるとみなすことができる。
- Aが、Cに400万円を弁済するのに先立ち、Bに事前の通知をしないで弁済をし、共同の免責を得た場合において、Bは、Cに対して200万円の反対債権を有していたときは、自己の負担部分の200万円について、Aの求償に対して相殺をもって対抗できる。
- Aが、Cに対して400万円の反対債権を有する場合において、Aが相殺を援用したときは、Aの負担部分の200万円についてのみ、Bの利益のためにも、その効力を生ずる。
- Cが、Aに対して債務を免除した場合において、Aの負担部分の200万円の限度で、Bは、Cに対して債務の履行を拒むことができる。
- AのためにCの貸金債権の消滅時効が完成した場合において、BがCに400万円を弁済したときは、Bは、Aに求償権を行使することができない。
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この過去問の解説 (2件)
01
連帯債務の当事者の1人について生じた事由の、他の連帯債務者に対する効力を問う問題です。
本問では、相対的効力の原則と絶対的効力(例外)の理解が問われています。
・相対的効力の原則
連帯債務の当事者の1人について生じた事由は、他の連帯債務者に影響を及ぼさない
→履行の請求、免除、消滅時効の完成
・絶対的効力(例外)
連帯債務の当事者の1人ついて生じた事由が、他の連帯債務者にも影響を及ぼす
→弁済、更改、相殺、混同
民法443条では、連帯債務者は弁済の前後に他の連帯債務者に対して通知をすることが求められています。
本問の場合は、AがBに通知することでBがCに400万円を弁済する(つまり、二重弁済になる)ことを防止できます。
しかしながら、AがBに通知を怠ったことでAはBに対して自己の免責行為を有効であるとみなすことができないため、不適切な選択肢となります。
※なお、「BがAに通知をしていなかったときは」という記述ですが、通知義務は弁済した者にあります。Bは弁済していないため、そもそも(Aへの)通知義務はありません。
Bは、Cに対して200万円の反対債権を有しています。(BはCから200万円借金していますが、一方でCに対して200万円の貸金債権があるので相殺することができます)
しかし、AがCに400万円を弁済するのに先立ちBに事前の通知を怠ったため、BはCに対して相殺する機会を失いました。
AがCに400万円を弁済したので、AはBの負担分である200万円分を求償してきます。そこで、BはCに対して有する200万円の反対債権をもって、B負担分の200万円について相殺することで対抗できます。
したがって、本選択肢は正解の選択肢となります。
※BがCに対して有している200万円の貸金債権が、Aに移転するという意味ではありません。Aの求償権が、Bの貸金債権200万円で相殺されるだけです。(Aは、Cに対して何も主張することができません)
冒頭の解説より、相殺には絶対的効力があります。
すなわち、AがCに対して400万円の反対債権を有する(AがCに400万円を貸している)場合において、Aが相殺を援用したときはCに対する400万円分の連帯債務全てが消滅するため不適切な選択肢となります。
※絶対的効力のためBも全額免責されますが、AはBに200万円分を求償することができます。
冒頭の解説より、免除は相対的効力です。
すなわち、CがAに対して債務を免除した場合、Aの負担部分の200万円が免除されただけであり、BはCに対して債務の履行を拒むことはできない(Bの立場は何も変わらない)ため不適切な選択肢となります。
※CがAに対して債務を免除した場合において、BがCに対して400万円弁済した場合は、BはAに対してBの負担分200万円のみの求償権を有します。
冒頭の解説より、消滅時効は相対的効力です。
AのためにCの貸金債権の消滅時効が完成した場合において、BがCに400万円を弁済したときは、BはAに200万円分の求償権を行使することができるため不適切な選択肢となります。
※消滅時効の完成によりA→Cへの弁済義務が消滅するだけであり、ABが共に200万円分ずつ負担しているという内部関係には何の影響も及ぼしません。
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02
AとBがCに対して400万円の連帯債務を負い(負担部分は各200万円)、連帯債務者の一人に生じた事由(弁済と通知、相殺、免除、消滅時効)が他の連帯債務者や内部求償関係にどう影響するかを問う問題です。2020年施行の改正民法による絶対効・相対効の重要な変更点が複数含まれていますので、重要問題といえます。
妥当でない
民法443条2項は、先に弁済した者が事後通知を怠った場合、後から弁済した者が自己の弁済を有効とみなせると規定しています。しかし、判例(最判昭57.12.17)は、後から弁済した者(A)も事前通知を怠っていた場合、事前通知をしていればBの先行弁済を知り得たとして、Aに443条2項の保護を与えないとしました。事前通知を怠ったAの帰責性が重いため、Bが事後通知を怠っていてもAは自己の弁済を有効とみなすことができません。
妥当である
Aが事前通知をせずにCに400万円を弁済して共同の免責を得た場合、他の連帯債務者Bは、債権者Cに対抗することができた事由をもって、自己の負担部分について、Aからの求償に対抗することができます(民法443条1項)。BはCに対して200万円の反対債権を有していたため、Aが事前に通知していれば相殺によって自己の負担部分を消滅させることができました。したがって、BはCに対する反対債権による相殺をもって、自己の負担部分200万円についてAの求償に対抗できます。なお、この場合Aは、Bに代わってCに対して不当利得返還請求等を行うことで調整を図ることになります。
妥当でない
連帯債務者の一人であるAが、Cに対して有する400万円の反対債権で自ら相殺を援用した場合、その債権はすべての連帯債務者の利益のために消滅します(439条1項)。つまり400万円全額について連帯債務が消滅し、Bも全額について債務を免れます。「Aの負担部分の200万円についてのみ」という記載は誤りです。なお、Aが相殺を援用しない間は、他の連帯債務者BはAの負担部分の限度で履行を拒むことができるにとどまります(439条2項)。本選択肢は「Aが相殺を援用した」後の話ですので、全額消滅が正しい結論です。
妥当でない
改正民法441条(相対効の原則)に関する問題です。旧民法では免除に絶対効があり、Aの負担部分200万円について他の連帯債務者Bも免除されました(旧437条)。しかし、改正民法では免除は相対効とされ(441条本文)、CがAに対して債務を免除しても、Bの債務には直接影響しません。したがって、BがAの負担部分の限度で履行を拒めるとする本選択肢は、改正民法の下では妥当ではありません。
妥当でない
改正民法441条により、消滅時効の完成も相対効です。Aについて時効が完成しても、Bの債務には影響しません。BがCに400万円を弁済した場合、Bは共同の免責を得ているため、民法442条に基づき、Aに対して負担部分200万円の求償権を行使できます。Aについての時効完成はC対Aの関係の事由にすぎず、B対Aの求償関係を妨げるものではありません。
①改正民法における絶対効・相対効の整理
絶対効・・・弁済・代物弁済・供託、更改、相殺(本人が援用)、混同、
相対効・・・免除、消滅時効の完成、履行の請求
②通知
事前通知を怠った弁済者 → 他の連帯債務者がCに対抗できた事由で求償に対抗される
事後通知を怠った先行弁済者 → 後の弁済者が自己の弁済を有効とみなせる(443条2項)
双方が通知を怠った場合 → 事前通知を怠った後行弁済者は保護されない(判例:最判昭57.12.17)
③相殺
本人が援用した場合 → 反対債権の全額について全連帯債務者の利益のために消滅
本人が援用しない間 → 他の連帯債務者は負担部分の限度で履行を拒める
比較整理し、結論を逆にしたひっかけ問題に対応できるようにしましょう。
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