行政書士 過去問
令和7年度
問27 (民法 問1)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

行政書士試験 令和7年度 問27(民法 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
  • 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
  • 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
  • 被保佐人が遺産の分割をする場合には、その保佐人の同意を得る必要はないが、被保佐人が相続の承認又は放棄をする場合には、その保佐人の同意を得なければならない。
  • 制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
  • 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について、1箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合、これらの者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

行為能力に関して、民法の規定を問う問題です。

 

なお、本問では「誤っているもの」を選択させる指示になっていることに注意してください。

選択肢1. 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。

本選択肢は、民法17条3項の内容そのものであり、正しい記述のため本問では不適切な選択肢となります。

 

※「補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしない」ケースとしては、補助人の誤解・被補助人への過剰な介入・被補助人の交友関係を快く思わないなど感情的な理由での反対・被補助人への無関心などが挙げられます。

選択肢2. 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。

成年被後見人、被保佐人、被補助人については、適用できるものは同時に1つだけです。(被保佐人又は被補助人のまま、重ねて成年被後見人になることはできません)

 

事理弁識能力の程度に応じて、被保佐人又は被補助人→成年被後見人に変更する必要がある場合は、家庭裁判所で被保佐人又は被補助人の審判を取り消してから成年被後見人に変更しなければなりません。

 

したがって、正しい記述のため本問では不適切な選択肢となります。

選択肢3. 被保佐人が遺産の分割をする場合には、その保佐人の同意を得る必要はないが、被保佐人が相続の承認又は放棄をする場合には、その保佐人の同意を得なければならない。

民法13条1項6号に、保佐人の同意を得なければならない重要な行為として相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割が挙げられており、誤った記述のため本問では正解の選択肢となります。(つまり、すべて保佐人の同意が必要)

選択肢4. 制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。

 

したがって、正しい記述のため本問では不適切な選択肢となります。

選択肢5. 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について、1箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合、これらの者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

本選択肢は、制限行為能力者の相手方に認められている催告権(民法20条)の論点です。

 

制限行為能力者が単独で追認できる行為については、法定代理人、保佐人又は補助人が確答を発しないときは追認したものとみなされます。

 

※単独で追認できない行為については、法定代理人、保佐人又は補助人を監督する「監督人」がいる場合なので取消しとなります。

 

したがって、正しい記述のため本問では不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

詐術について、黙秘は詐術に該当するのかどうかが問題になります。

 

判例では、単なる黙秘だけの場合は詐術に該当しませんが、他の言動等と相俟って相手方を誤信させた場合には詐術に該当するというべきであるとしています。

 

参考になった数1

02

本問は、民法総則の「制限行為能力者制度」に関する総合問題です。補助人の同意に代わる家庭裁判所の許可、後見・保佐・補助の審判の調整、被保佐人の同意を要する行為の範囲、詐術による取消権の喪失、そして相手方の催告権という5つの論点が問われています。いずれも条文知識の正確さが直接得点に結びつく基本問題です。

選択肢1. 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。

正しい

補助人の同意を要する行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意しないときは、家庭裁判所が被補助人の請求により同意に代わる許可を与えることができます。被補助人の自己決定権が補助人の不合理な拒否によって不当に制約されることを防ぐ趣旨の規定です。保佐人についても同様の規定があります(民法13条3項)。

選択肢2. 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。

正しい

後見・保佐・補助の三類型は重複して適用されません。後見はより重い保護類型であるため、後見開始の審判がなされる場合、既存の保佐開始・補助開始の審判は家庭裁判所が取り消さなければなりません。

選択肢3. 被保佐人が遺産の分割をする場合には、その保佐人の同意を得る必要はないが、被保佐人が相続の承認又は放棄をする場合には、その保佐人の同意を得なければならない。

誤り

民法13条1項6号は、保佐人の同意を要する行為として「相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること」と規定しています。すなわち、「相続の承認・放棄」だけでなく「遺産の分割」も同意が必要な行為として明文で列挙されています。「遺産の分割には同意不要」という記載は誤りです。遺産分割は被保佐人の財産関係に重大な影響を及ぼす行為であり、保護の対象となっています。

選択肢4. 制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

正しい

制限行為能力者が相手方に対して行為能力者であると信じさせるために詐術を用いた場合、取消権が否定されます。保護制度を悪用する者まで保護する必要はなく、相手方の信頼を保護する信義則的な制限です。なお、判例上、単に制限行為能力者であることを黙秘しただけでは詐術に該当しませんが、黙秘が他の言動と相まって相手方を誤信させた場合には詐術に該当するとされています。

選択肢5. 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について、1箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合、これらの者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

正しい

制限行為能力者の相手方が、法定代理人・保佐人・補助人に対して1か月以上の期間を定めて催告し、期間内に確答がなかった場合は追認したものとみなされます。これらの保護者には適切に対応する能力があるため、沈黙を追認と擬制しても不合理ではないという趣旨です。

まとめ

催告の相手方            確答がないときの効果

法定代理人・保佐人・補助人    → 追認とみなす(20条2項)

制限行為能力者本人(能力回復前) → 取消しとみなす(20条4項)

制限行為能力者本人(能力回復後) → 追認とみなす(20条1項)   

この3つは丸暗記事項です。

本問の5肢は基本事項として必ず理解し、本番で出題された際は必ず正解しないといけません。

 

参考になった数0