行政書士 過去問
令和7年度
問22 (行政法 問15)
問題文
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問題
行政書士試験 令和7年度 問22(行政法 問15) (訂正依頼・報告はこちら)
- ため池の破損等の原因となる堤とうの使用行為は憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外にあることから、これを条例をもって禁止し、処罰の対象にしても憲法および法律に抵触するものとはいえない。
- 地方自治法の定める相当に具体的な内容の事項につき、同法に基づき限定された刑罰の範囲内において、条例をもって罰則を定めることは憲法31条に反するとはいえない。
- 暴走族による集会等を規制する暴走族追放条例は、その規制対象が本来的な意味における暴走族およびその類似集団による集会に限定されると解されることから、憲法21条1項、31条に反するとはいえない。
- 国民健康保険の保険料率を定める国民健康保険条例が、市長に対して、条例の定める基準に基づき保険料率を決定・公示することを委任したとしても、そのことが憲法84条の趣旨に違反するとはいえない。
- 集団行進および集団示威行為における交通秩序の維持を目的とする条例は、道路交通法と同一の行為を処罰することになるため、憲法31条に違反する。
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この過去問の解説 (2件)
01
条例の適法性に関する、最高裁判所の判例知識を問う問題です。
なお、本問では「妥当でないもの」を選択させる指示になっていますので注意してください。
判例では、ため池の保全に関する条例は災害を防止し公共の福祉を保持する上に社会生活上やむを得ないものであり、憲法および法律に抵触するものとはいえないとしています。
以上から妥当な記述であるため、本問では不適切な選択肢となります。
憲法31条では、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられないと定めています。
判例では、法律の授権により、憲法より下位の条例で罰則を定めることは憲法31条に違反しないとしています。
以上から妥当な記述であるため、本問では不適切な選択肢となります。
憲法21条1項では、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
憲法31条では、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
と、それぞれ定めています。
判例では、暴走族追放条例の規制対象は暴走族およびその類似集団による集会に限定されると解されることから、憲法21条1項及び31条に反するとはいえないとしています。
以上から妥当な記述であるため、本問では不適切な選択肢となります。
憲法84条では、あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とすると定めています。
判例では、国民健康保険料はあくまで「保険料」であり(税金ではない)、市長に対して条例の定める基準に基づき保険料率を決定・公示することを委任していることが憲法84条の趣旨に違反するとはいえないとしています。
以上から妥当な記述であるため、本問では不適切な選択肢となります。
※なお、判例では国民健康保険が強制加入で、保険料が強制徴収されることから憲法84条の趣旨が及ぶとしています。
憲法31条では、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられないと定めています。
本選択肢の事例では、条例の罰則が道路交通法の罰則よりも重く設定されていました。(いわゆる「上乗せ条例」)
判例では、条例が法令の規定に違反するかどうかは、条例と法令の文言の比較だけではなく、両者の趣旨、目的、内容および効果を比較して矛盾抵触があるかどうかによって決めなければならないとし、この事例では憲法31条に違反しないとしています。
以上から妥当でない記述であるため、本問では正解の選択肢となります。
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02
本問は、地方公共団体が制定する条例の適法性・合憲性について、最高裁判所の判例の結論と理由を正確に理解しているかを問う問題です。憲法94条は「法律の範囲内で条例を制定することができる」と定めていますが、条例による規制が財産権(29条)、罪刑法定主義(31条)、表現の自由(21条)、租税法律主義(84条)といった憲法上の要請と抵触しないかが繰り返し争われてきました。
妥当である
ため池条例事件:最大判昭38.6.26
奈良県ため池の保全に関する条例が、ため池の堤とうでの耕作等を禁止し罰則を科したことが、憲法29条(財産権の保障)に反しないかが争われました。最高裁は、ため池の破損・決壊等の原因となる堤とうの使用行為は、災害を防止し公共の福祉を保持する上で社会生活上やむを得ない制約であり、そのような行為は「憲法でも民法でも適法な財産権の行使として保障していない」(財産権行使の埒外)と判示しました。よって条例で禁止・処罰しても憲法・法律に抵触せず、補償も不要としました。
妥当である
大阪市売春取締条例事件:最大判昭37.5.30
条例で罰則を定めることが、憲法31条(罪刑法定主義・適正手続の保障)に反しないかが争われました。最高裁は、条例をもって罰則を定めることについて、法律の授権に基づく民主的立法として、憲法31条に反しないと判示しています。
妥当である
広島市暴走族追放条例事件:最判平19.9.18
暴走族の集会等を規制する条例が、集会の自由(憲法21条1項)や明確性の原則(憲法31条)に反しないかが争われました。最高裁は、規制対象は「本来的な意味における暴走族およびこれに準ずる集団」による集会等に限定されると解しました。このように限定解釈すれば、条例は過度に広範でも不明確でもなく、憲法21条1項・31条に反するとはいえない、としました。
妥当である
旭川市国民健康保険条例事件:最大判平18.3.1
国民健康保険条例が保険料率の決定を市長に委任したことが、租税法律主義を定める憲法84条の趣旨に反しないかが争われました。最高裁は、国民健康保険料は「租税」そのものではないが、強制徴収が認められる公的金銭負担であるから憲法84条の趣旨が及ぶとしました。しかし、本件条例は賦課総額の算定基準や賦課限度額等を具体的に定めた上で市長に委任しており、条例自体から算定の仕組みが明らかであるため、包括的な白紙委任にはあたらず、憲法84条の趣旨に反しないと判断しました。
妥当でない
徳島市公安条例事件:最大判昭50.9.10
徳島市公安条例が集団行進等における蛇行進等を禁止・処罰していたところ、同様の行為を規制する道路交通法との関係で、条例が法律に抵触し違法・違憲ではないかが争われました。本件では、道路交通法は交通の安全と円滑を一般的に目的とするのに対し、公安条例は公共の安寧の保持を目的としており、目的や規制対象が異なると認定しました。また、道路交通法は公安条例による規制を排斥する趣旨ではないとして、条例は合憲・適法と結論づけました。したがって、「憲法31条に違反する」という記述は誤りです。
法律と条例の抵触に関する問題は頻出です。趣旨、目的、内容、効果などの記述をを逆にした出題に引っかからないようにしましょう。
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