行政書士 過去問
令和7年度
問20 (行政法 問13)

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問題

行政書士試験 令和7年度 問20(行政法 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

国家賠償法1条に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア  国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、ここにいう「公権力の行使」は、行政事件訴訟法において抗告訴訟の対象を表す「公権力の行使」と同じ意味であるから、国会議員が行う立法行為は、この概念には含まれないとするのが判例である。
イ  国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、行政指導や情報提供などの非権力的行政作用も、ここにいう「公権力の行使」に含まれうるとするのが判例である。
ウ  国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が「職務を行うについて」他人に損害を与えていることが必要であり、公務員が職務執行の意思をもたずに私的な目的のためになした違法行為については、その外形のいかんにかかわらず、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。
エ  国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が職務上尽くすべき注意義務に違反していることが必要であるが、公務員が法律解釈を誤って違法行為を行ったとしても、それにつき異なる見解が対立し、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合には、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。
  • ア・イ
  • ア・ウ
  • ア・エ
  • イ・エ
  • ウ・エ

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この過去問の解説 (2件)

01

国家賠償法1条に関する、最高裁判所の判例知識を問う問題です。

 

ア.国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、ここにいう「公権力の行使」は、行政事件訴訟法において抗告訴訟の対象を表す「公権力の行使」と同じ意味であるから、国会議員が行う立法行為は、この概念には含まれないとするのが判例である。

 

→在外投票制度(日本国外に居住する日本人が、現地国で日本の国政選挙に投票できる制度)が長らく実施されなかった経緯について国会議員の不作為を認めた判決があり、誤りです。


イ.国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、行政指導や情報提供などの非権力的行政作用も、ここにいう「公権力の行使」に含まれうるとするのが判例である。

 

→「公権力の行使」の意義として、判例では行政指導や情報提供などの非権力的行政作用も含まれうるとしており、正しいです。


ウ.国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が「職務を行うについて」他人に損害を与えていることが必要であり、公務員が職務執行の意思をもたずに私的な目的のためになした違法行為については、その外形のいかんにかかわらず、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。

 

→いわゆる「外形標準説」(制服を着用するなど外形を備えていれば、客観的に業務中と判断できること)であり、判例では国家賠償法1条による賠償責任を認めているため誤りです。


エ.国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が職務上尽くすべき注意義務に違反していることが必要であるが、公務員が法律解釈を誤って違法行為を行ったとしても、それにつき異なる見解が対立し、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合には、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。

 

→判例では、公務員が法律解釈を誤って違法行為を行ったとしても、それにつき異なる見解が対立し、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合には、後にその行為が違法と判断されても直ちに国家賠償法1条による賠償責任を認めることにはならないとしており、正しいです。

 

以上から、妥当なものの組合せは「イ・エ」となります。

選択肢1. ア・イ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「イ・」であるため不適切な選択肢となります。

選択肢2. ア・ウ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「」であるため不適切な選択肢となります。

選択肢3. ア・エ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「・エ」であるため不適切な選択肢となります。

選択肢4. イ・エ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「イ・エ」であるため正解の選択肢となります。

選択肢5. ウ・エ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「・エ」であるため不適切な選択肢となります。

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02

国家賠償法1条1項は、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたとき」の賠償責任を定める規定です。本問は、この条文の中にある、「公権力の行使」、「職務を行うについて」、「過失」について、最高裁判例の知識が問われる問題です。

 

ア:最高裁は、国会議員の立法行為も国賠法1条の「公権力の行使」に含まれることを前提としたうえで、一定の限定的要件のもとで違法性を判断する仕組みです(在宅投票制度廃止事件:最大判昭和60年11月21日)。さらに、在外邦人選挙権訴訟(最大判平成17年9月14日)では、実際に立法不作為の違法を認め国家賠償請求を認容しており、立法行為が「公権力の行使」に含まれない、という記述は誤りです。

 

イ:国家賠償法1条の「公権力の行使」は、国民の権利を制限し義務を課す権力的作用に限らず、行政指導や情報提供などの非権力的行政作用も含まれます。判例・通説は、純粋な私経済作用と国賠法2条が適用される公の営造物の設置・管理を除き、公務員が行う公的活動を広く「公権力の行使」に含めて解釈しています。公立学校における教育活動が「公権力の行使」に該当するとした判例(最判昭和62年2月6日)があります。

 

ウ:「職務を行うについて」の判断について、最高裁はいわゆる外形標準説を採用しています(最判昭和31年11月30日)。

公務員が主観的に職務執行の意思を持たず、私的な目的で行った行為であっても、客観的に職務行為の外形を備えている場合には「職務を行うについて」に該当し、行政主体の賠償責任が成立しうる、としました。これは被害者保護の観点から、公務員の内心の意図という被害者にとって認識困難な事情ではなく、外形という客観的基準で判断すべきとの趣旨です。「外形のいかんにかかわらず」成立しないという記述は誤りです。

 

エ:最高裁は、公務員が法令の解釈を誤って結果的に違法な行為をした場合でも、その法律解釈について異なる見解が対立し、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合には、当該公務員に職務上の注意義務違反(過失)があったとはいえず、国家賠償責任は成立しないとしています(最判平成16年1月15日等)。

まとめ

公権力の行使とされるもの、されないものの区別、外形標準説は頻出です。

国家賠償法第1条は重要な条文です。応用知識(判例等)まで学習しましょう。

 

 

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