行政書士 過去問
令和7年度
問19 (行政法 問12)

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問題

行政書士試験 令和7年度 問19(行政法 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

処分差止めの訴えに関する次のア〜オの記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア  処分差止めの訴えは、一定の処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があるときに限り提起することができる。
イ  処分差止めの訴えは、対象となる処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができないときに提起することができるとするのが判例である。
ウ  処分差止めの訴えは、義務付けの訴えと同様、申請に対する処分を対象にする場合とそれ以外の処分を対象にする場合に区分され、訴訟要件と本案勝訴要件につき、それぞれ別個の定めが置かれている。
エ  取消しの訴えについては、処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する旨の規定が置かれているが、この規定は、処分差止めの訴えには準用されていない。
オ  仮の差止めは、処分差止めの訴えを提起する前においても申し立てることができるが、本案について理由がないとみえるときは、仮の差止めの決定をすることができない。
  • ア・イ
  • ア・オ
  • イ・エ
  • ウ・エ
  • ウ・オ

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この過去問の解説 (3件)

01

処分差止めの訴えに関する問題です。

 

ア.処分差止めの訴えは、一定の処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があるときに限り提起することができる。


行政事件訴訟法37条4項1号では、差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り提起することができる(ただし書き省略)と定めており、生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があるときではないため誤りです。

 

イ.処分差止めの訴えは、対象となる処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができないときに提起することができるとするのが判例である。

 

→本選択肢は判例の通りの記述であり、正しいです。

 

ウ.処分差止めの訴えは、義務付けの訴えと同様、申請に対する処分を対象にする場合とそれ以外の処分を対象にする場合に区分され、訴訟要件と本案勝訴要件につき、それぞれ別個の定めが置かれている。

 

→処分差止めの訴えは、義務付けの訴えとは異なり、申請に対する処分を対象にする場合とそれ以外の処分を対象にする場合に区分されていないため誤りです。

 

エ.取消しの訴えについては、処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する旨の規定が置かれているが、この規定は、処分差止めの訴えには準用されていない。

 

→取消訴訟に関する規定の準用は行政事件訴訟法38条1項に定めがありますが、判決の第三者効(32条1項)については準用していませんので正しいです。

 

オ.仮の差止めは、処分差止めの訴えを提起する前においても申し立てることができるが、本案について理由がないとみえるときは、仮の差止めの決定をすることができない。

 

→仮の差止めは、処分差止めの訴えを提起する前に申し立てることができないため誤りです。(差し止めるべき訴え自体がまだ提起もされていないため、時系列的に不可能です)

まず、処分差止めの訴えを提起し、判決が出るまでの間に仮の差止めを求めることができます。

 

以上から、妥当なものの組合せは「イ・エ」となります。

選択肢1. ア・イ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「イ・」であるため不適切な選択肢となります。

選択肢2. ア・オ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「」であるため不適切な選択肢となります。

選択肢3. イ・エ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「イ・エ」であるため正解の選択肢となります。

選択肢4. ウ・エ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「・エ」であるため不適切な選択肢となります。

選択肢5. ウ・オ

冒頭の解説より、妥当なものの組合せは「」であるため不適切な選択肢となります。

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02

処分差止めの訴えは、一定の処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があるときに限り提起することができる。

 

妥当でない

行政事件訴訟法37条の4 1項にあるとおり、差止めの訴えにおける要件は、

一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあること

重大な損害を避けるため他に適当な方法がないこと

が定められています。

 

行政事件訴訟法
第37条の4 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。


-----
処分差止めの訴えは、対象となる処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができないときに提起することができるとするのが判例である。

 

妥当である

判例は、都教委の教育長が都立学校の各校長あてに発した「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」により、毎年度2回以上、都立学校の卒業式や入学式等の式典に際し、多数の教職員に本件職務命令が繰り返し発せられ、その違反に対する懲戒処分が反復継続的かつ累積加重的にされることで、事後的な損害の回復が著しく困難になることを考慮すると、本件通達を踏まえた職務命令の違反を理由とした懲戒処分による損害は、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるとはいえないため、差止めの訴えの訴訟要件である「重大な損害を生ずるおそれ」に該当する、としました。
(国歌斉唱義務不存在確認等請求事件/最判平24.2.9)


-----
処分差止めの訴えは、義務付けの訴えと同様、申請に対する処分を対象にする場合とそれ以外の処分を対象にする場合に区分され、訴訟要件と本案勝訴要件につき、それぞれ別個の定めが置かれている。

 

妥当でない
差止めの訴えは、「申請に対する処分を対象にする場合とそれ以外の処分を対象にする場合に区分され」としているところが誤りです。

 

差止めの訴えに、「申請型」「非申請型」の区別はありませんが、訴訟要件と本案勝訴要件は定められています。

訴訟要件(行政事件訴訟法37条の4 1項)
・一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあること
・重大な損害を避けるため他に適当な方法がないこと

 

本案勝訴要件(行政事件訴訟法37条の4 5項)
・行政庁がその処分・裁決をすべきでないことが、根拠となる法令の規定から明らかであると認められるとき
 又は
・行政庁が処分・裁決をすることが、裁量権の範囲の逸脱・濫用となると認められるとき

 

(差止めの訴えの要件)
行政事件訴訟法
第37条の4 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。

 

5 差止めの訴えが第1項及び第3項に規定する要件に該当する場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決をする。

 

-----
取消しの訴えについては、処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する旨の規定が置かれているが、この規定は、処分差止めの訴えには準用されていない。

 

妥当である

取消判決等の効力についての規定は、行政事件訴訟法32条に定められていますが、同法38条(取消訴訟に関する規定の準用)の中に同法32条は含まれていません。

 

行政事件訴訟法

(取消判決等の効力)
第32条 処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。

 

(取消訴訟に関する規定の準用)
第38条 第11条から第13条まで、第16条から第19条まで、第21条から第23条まで、第24条、第33条及び第35条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。


ーーーーー
仮の差止めは、処分差止めの訴えを提起する前においても申し立てることができるが、本案について理由がないとみえるときは、仮の差止めの決定をすることができない。

 

妥当でない

仮の差止めは、差止め訴訟が提起されていることを前提とし、原告からの申立てが必要です。

 

仮の差止めの要件
・処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
・本案について理由があるとみえること
・公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと

 

行政事件訴訟法
第37条の5
2 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。
3 仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。

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03

処分差止めの訴えからの出題です。

選択肢1. ア・イ

不適切な選択肢です。

選択肢2. ア・オ

不適切な選択肢です。

選択肢3. イ・エ

適切な選択肢です。

ア誤りです。

処分差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができます。

償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があるときに限り提起をできるのは、仮の義務付け・仮の差止めです。

 

イ正しいです。

本肢の通りです。

 

ウ誤りです。

処分差止めの訴えは、本肢の様な区別はされていません。

義務付けの訴えには非申請型と申請型の区別があります。

 

エ正しいです。

取消判決の第三者効の規定は、処分差止めの訴えを含めた他の訴訟類型には一切準用されていません。

 

オ誤りです。

仮の差止めは、①差止め訴訟の提起したこと②償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること③原告からの仮の差止めの申立てがあること④本案について理由があるとみえることが必要です。よって本肢は誤りです。

選択肢4. ウ・エ

不適切な選択肢です。

選択肢5. ウ・オ

不適切な選択肢です。

まとめ

マイナー論点の処分差止の訴えは学習の手が回りにくいと思いますが、最低限の訴訟要件や準用については抑えておきましょう。

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