行政書士 過去問
令和7年度
問17 (行政法 問10)
問題文
抗告訴訟の対象に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
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問題
行政書士試験 令和7年度 問17(行政法 問10) (訂正依頼・報告はこちら)
抗告訴訟の対象に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 関税定率法(当時)の規定に基づく輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある旨の税関長による通知は、いわゆる観念の通知と見るべきものであるが、当該通知があった場合には、輸入申告者は貨物を適法に輸入する道を閉ざされるのであって、これは当該通知によって生ずるに至った法律上の効果と見るのが相当であり、当該通知は行政処分に当たる。
- 交通反則金の納付の通告は、通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務を生じさせるものであるから、行政処分に当たる。
- 地方公共団体の水道事業において、水道料金を条例の適用範囲全域につき一律に値上げすることを内容とする水道給水条例が制定された場合、水道の利用者はかかる条例の施行によって値上げされた水道料金の支払義務を負うこととなるため、当該条例の制定行為は行政処分に当たる。
- 登録免許税を過大に納付して登記を受けた者が、登記機関に対して税務署長への還付通知を行うように登録免許税法に基づいて請求した場合、当該通知を拒否する旨の登記機関による通知は、登記等を受けた者の手続上の地位を否定する法的効果を有さないため、行政処分に当たらない。
- 都市計画法に基づく都市計画決定としてなされる工業地域指定は、これによって当該地域内において、建築物の建築を制限する法的効果が土地所有者等に対して生じることとなるため、具体的な権利侵害を伴うものであるから、行政処分に当たる。
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この過去問の解説 (3件)
01
抗告訴訟とは、「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟」のことで、取消訴訟・無効等確認訴訟・不作為の違法確認訴訟・義務付け訴訟・差止め訴訟の5種類を設けています。
この問題は、取消訴訟における処分性の有無を判断した判例が並んでいます。
それぞれの行政行為が「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するかを整理します。
行政事件訴訟法
第3条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
妥当である
判例は、税関長からの関税定率法による通知等は、税関長の判断の結果の表明、すなわち観念の通知であると言えるが、もともと法律の規定に準拠しているものであり、かつ、これにより貨物を適法に輸入することができなくなるという法律上の効果を及ぼすものであるから、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当する、としています。
(輸入禁制品に該当する旨の税関長による通知/最判昭54.12.25)
妥当でない
行政処分に当たりません。
判例は、道路交通法において、通告を受けた者が、反則金の納付を選んだ場合は、反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、抗告訴訟で通告の効果を覆すことは許されない、とし、
反則行為の不成立等を主張するのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたとき、刑事手続きの中でこれを争い、裁判所の審判を求めるべきである、としました。
(交通反則金の納付の通告/最判昭57.7.15)
妥当でない
行政処分に当たりません。
判例は、普通地方公共団体が制定する簡易水道事業給水条例の一部改正による水道料金の改定は、簡易水道事業の水道料金を一般的に改定するものであって、そもそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、本件改正条例の制定行為を行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない、としました。
(普通地方公共団体が営む水道事業に係る水道料金を改定する条例の制定行為/最判平18.7.14)
妥当でない
行政処分に当たります。
判例は、登録免許税法において、登録免許税を過大に納付して登記を受けた者が、登記機関(法務局)に対して税務署長への還付通知を行うよう請求した場合は、登記等を受けた者に簡易迅速な還付手続きの利用を保障していることを示し、
その上で、登記機関による拒否通知は、登記機関が還付手続きを執らないことが明らかで、登記等を受けた者は、簡易迅速な還付手続きが利用できなくなるということなので、拒否通知は、登記等を受けた者に対して、手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる、としました。
(登録免許税の過誤納金還付の拒否通知/最判平17.4.14)
妥当でない
行政処分に当たりません。
判例は、都市計画法に基づく工業地域指定の決定は、当該地域内の土地所有者等に、建築基準法上、新たな制約を課し、その限度で一定の法状態の変動が生じることは否定できないが、その効果は、新たに法令が制定された場合と同様、当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的な効果にすぎず、直ちに、個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない、としました。
(都市計画法に基づく工業地域指定の決定/最判昭57.4.22)
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02
抗告訴訟の対象に関する判例問題です。
判例では、税関長の通知が行政処分に該当し抗告訴訟の対象となるとしており、正解の選択肢となります。
判例では、交通反則金の納付の通告に従うかどうかは自由(法律上の義務を生じさせるものではない)であり、交通反則金の納付の通告に不服がある場合は反則金を納付しないで裁判で争うことができるとしており、行政処分に当らないため不適切な選択肢となります。
判例では、水道料金を改定する条例の制定行為と処分は違う(実質的に同視することはできない)としており、行政処分に当らないため不適切な選択肢となります。
判例では、登録免許税を過大に納付して登記を受けた者が、登記機関に対して税務署長への還付通知を行うように登録免許税法に基づいて請求した場合、当該通知を拒否する旨の登記機関による通知は、登記等を受けた者の手続上の地位を否定する法的効果を有するため行政処分に当たるとしており、不適切な選択肢となります。
判例では、用途地域の指定(ここでは、都市内のある地域を工業地域に指定すること)により建築物の建築を制限する法的効果が土地所有者等に対して生じるものの、直ちに具体的な権利侵害を伴うものではなく行政処分に当たらないとしており、不適切な選択肢となります。
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03
この問題は行政事件訴訟法の処分性に関する判例について問われています。
処分性が認められるためには、「直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定すること」が要求されます。
正しいです。
判例(最判昭和54年12月25日)
は、税関長による通知が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるかが問題となった事案となります。
同様の事案において、判例では税関長の通知は観念の通知であるとはいうものの、抗告訴訟の対象である処分に該当するとしました。
よって、処分性が認められるため、本肢が正解となります。
誤りです。
交通反則金の納付の通告は、反則金の納付義務が生ずるわけではありません。
実質義務の様にも感じますが、納付をすれば公訴が提起されないという任意の選択肢です。
同様の事案おいて、判例では通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務が生じるわけではなく、処分には当たらないとされています。
よって、処分性が認められていません。
誤りです。
行政処分に当たるためには、解説の冒頭の通りの要件が必要です。
本肢は、水道料金を条例の適用範囲全域につき一律に値上げすることを内容とする水道給水条例が制定された場合は、特定の者に対してのみ適用されるものではなく、一般的に改定するものであるため行政処分には当たりません。
よって、処分性が認められません。
誤りです。
同様の事案において、登記機関による還付通知の拒否は、単なる観念の通知にとどまらず、納付者の権利の実現に具体的な影響を及ぼすものであるとされています。
そのため登記機関による還付通知の拒否は、国民の権利義務に直接影響を与える行為として、行政処分に該当します。
よって、処分性が認められないとする本肢は誤りです。
誤りです。
都市計画法に基づく都市計画決定としてなされる工業地域指定は、特定の個人に対してのみ影響を与えるわけではなく、一律に影響を与えるものであるため行政処分に当たりません。
よって、処分性は認められていません。
処分性に関する問題には判例をしっかり理解する必要はなく、処分性が認められるのか認められないのかをキーワードで押さえておけば十分です。
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