行政書士 過去問
令和7年度
問10 (行政法 問3)

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問題

行政書士試験 令和7年度 問10(行政法 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

行政行為の附款に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
  • 行政庁は、行政行為に附款を付すことができる旨の法令の根拠が存在しない場合でも、裁量の範囲内で行政行為に附款を付すことができる。
  • 行政庁は、行政行為について撤回権を留保する附款を付すことができるが、このような附款を付さなかった場合には、法令に根拠のない限り、行政行為を撤回することはできない。
  • 行政行為の附款は行政庁の意思表示の一部を形成するものであるから、道路占用許可に付された使用料の納付などの負担を課す附款に違反した場合、当該占用許可は許可の時点に遡って無効となる。
  • 道路の占用許可について、開始と終了の具体的な日付を示す附款は、講学上の「条件」に該当する。
  • 行政行為の附款において、行政庁が負担として課すことができるのは作為義務に限られ、不作為義務を課すことはできない。

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この過去問の解説 (3件)

01

行政行為の附款(ふかん)に関する問題です。

 

附款とは、行政機関が行なう処分に条件や制限を付加することです。分かりやすい例としては、運転免許証に「眼鏡等」という条件を付けることです。(この場合の条件は「負担」という種類に分類されます)

 

附款には、以下の種類があります。

・条件

「停止」と「解除」の2つがあり、試験に合格したら車を買ってあげるという場合は停止条件(試験に合格するまでの間はお預け=停止)、外食店のメニューが値上がりしたので外食を止める(値上がりしたら、外食を楽しむ効果は消滅=解除)などです。

 

・期限

運転免許証の有効期限(令和〇年〇月〇日まで有効)

 

・負担

運転免許証の「眼鏡等」

眼鏡等を着用しなくても、運転免許証の効力が当然に失効するものではないという特徴があります。

 

・取消権(撤回権)の留保

行政処分の際に、後発的な事情により処分を取り消す(撤回する)ことを条件として付加しておくことです。公共施設の使用許可を出す際に、地震等の発生により公共施設を避難場所として使用する必要が生じた場合には使用許可を取り消すなどが挙げられます。

 

・法律の一部除外

行政処分の効力を一部発生させないような条件を付けることです。高架橋の下を通る道路に車高制限を設けて、一部の車両はその道路を通行できないようにするなどが挙げられます。「法律」の一部除外のため、法律に根拠がある場合に限られます。

選択肢1. 行政庁は、行政行為に附款を付すことができる旨の法令の根拠が存在しない場合でも、裁量の範囲内で行政行為に附款を付すことができる。

行政庁には、行政目的を達成するために必要な範囲で裁量権が認められていると考えられるため正解の選択肢となります。

選択肢2. 行政庁は、行政行為について撤回権を留保する附款を付すことができるが、このような附款を付さなかった場合には、法令に根拠のない限り、行政行為を撤回することはできない。

冒頭の解説で地震等の発生により公共施設を避難場所として使用するケースを挙げていますが、この場合には公共施設の使用許可を取り消すことには合理的な理由があると考えられますので、附款がなくても行政行為を撤回することは可能です。

 

以上から、本選択肢は不適切な選択肢となります。(言い換えると、合理的な理由なく撤回権を留保することはできない)

選択肢3. 行政行為の附款は行政庁の意思表示の一部を形成するものであるから、道路占用許可に付された使用料の納付などの負担を課す附款に違反した場合、当該占用許可は許可の時点に遡って無効となる。

本選択肢は、冒頭の解説の「負担」に該当します。つまり、道路占用許可に付された使用料の納付などを負担しなくても、当該占用許可は許可の時点に遡って無効となるわけではありません

 

以上から、本選択肢は不適切な選択肢となります。(勿論、使用料の納付を催促されたり、一定期間を過ぎても納付しない場合は何らかの罰が加えられる可能性はあります)

選択肢4. 道路の占用許可について、開始と終了の具体的な日付を示す附款は、講学上の「条件」に該当する。

冒頭の解説より、開始と終了の具体的な日付を示す附款は講学上の「期限」に該当するため不適切な選択肢となります。

選択肢5. 行政行為の附款において、行政庁が負担として課すことができるのは作為義務に限られ、不作為義務を課すことはできない。

不作為義務」とは、「~してはならない」義務を課すことです。例えば、道路工事の許可処分を行なう際に、近隣住民への配慮から深夜の時間帯には工事をしてはならないなどが挙げられます。

 

以上から、不作為義務を課すことはできるため不適切な選択肢となります。

 

 

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02

行政行為の附款に関して問われています。

行政行為の附款とは、行政行為の効果を制限するため、行政行為の主たる内容に付加された従たる意思表示のことです。

選択肢1. 行政庁は、行政行為に附款を付すことができる旨の法令の根拠が存在しない場合でも、裁量の範囲内で行政行為に附款を付すことができる。

正しいです。

附款、法律が附款を付すことができる旨を明示している場合のみならず、行政行為の内容の決定について行政庁に裁量権が認められている場合にも付すことができます。

選択肢2. 行政庁は、行政行為について撤回権を留保する附款を付すことができるが、このような附款を付さなかった場合には、法令に根拠のない限り、行政行為を撤回することはできない。

誤りです。

行政行為について撤回権を留保する附款を付すことはできます。


しかし、判例では撤回権の留保を付さなかった場合でも
法令上その撤回について直接明文の根拠がなくとも、行政行為の撤回をしうる見解を示しています。

 

選択肢3. 行政行為の附款は行政庁の意思表示の一部を形成するものであるから、道路占用許可に付された使用料の納付などの負担を課す附款に違反した場合、当該占用許可は許可の時点に遡って無効となる。

誤りです。

本問は負担について問われています。
負担は履行されなかったとしても、行政行為の効力が消滅するわけではありません。
よって、許可の時点に遡って無効となるという本問は誤りです。

 

選択肢4. 道路の占用許可について、開始と終了の具体的な日付を示す附款は、講学上の「条件」に該当する。

誤りです。

本問は「条件」ではなく「期限」に該当します。
条件とは、行政行為の効果を発生するかが不確実な将来の事実にかからせるものです。

選択肢5. 行政行為の附款において、行政庁が負担として課すことができるのは作為義務に限られ、不作為義務を課すことはできない。

誤りです。


「負担」とは許可・認可などの受益的行政行為に付けられるもので、相手方に特別の義務を命ずるものです。
そのため、作為義務だけでなく不作為義務を課すこともできます。

まとめ

本問は行政行為の附款についての基礎的な論点を問われているので、正解したい問題です。

 

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03

「行政行為の俯瞰」とは、行政行為の主たる意思表示に付加される、行政庁の従たる意思表示のことです。

 

「行政庁」とは、行政主体の意思を決定し、外部に表示する行政機関のことで、内閣総理大臣、各省大臣、都道府県知事、市町村長などが該当します。

 

「行政主体」とは、行政活動を行う権利と義務がある団体のことで、国、地方公共団体、その他独立行政法人などが該当します。

選択肢1. 行政庁は、行政行為に附款を付すことができる旨の法令の根拠が存在しない場合でも、裁量の範囲内で行政行為に附款を付すことができる。

妥当である
そのとおりです。

選択肢2. 行政庁は、行政行為について撤回権を留保する附款を付すことができるが、このような附款を付さなかった場合には、法令に根拠のない限り、行政行為を撤回することはできない。

妥当でない
「このような附款を付さなかった場合には、法令に根拠のない限り」としているところが誤りです。

 

「撤回」は、成立時は適法であった行政行為について、その後の事情の変化によって、公益上その効力が続くことが適切ではなくなった場合に、将来に向かってその効力を消滅させる行為のことで、法律の根拠がなくても行うことができるというのが通説・判例です。

 

「撤回権(取消権)の留保」とは、許認可等の行政行為をするにあたり、将来特定の場合に、行政庁が撤回の権利を行使する可能性があるということを示した附款です。
行政行為に「撤回権の留保」を付さなかったからといって、撤回する権利がなくなるわけではありません。

また、行政行為に「撤回権の留保」が付されていたとしても、行政庁が無制限に撤回できるわけではなく、合理的な理由がなければ、行政行為を撤回することはできません。
 

選択肢3. 行政行為の附款は行政庁の意思表示の一部を形成するものであるから、道路占用許可に付された使用料の納付などの負担を課す附款に違反した場合、当該占用許可は許可の時点に遡って無効となる。

妥当でない
「当該占用許可は許可の時点に遡って無効となる」としているところが誤りです。

 

附款の種類の中で、「負担」に該当します。
「負担」とは、許認可等の行政行為をするにあたり、法令により課される義務とは別に、相手方に特別の義務を命じる附款です。

なお、「負担」が履行されなかったとしても、行政行為の効力が当然に失われるわけではなく、行政庁は必要に応じて、負担の履行を強制したり、許認可を撤回したりするなどの措置を検討することになります。

選択肢4. 道路の占用許可について、開始と終了の具体的な日付を示す附款は、講学上の「条件」に該当する。

妥当でない
「条件」としているところが誤りで、「期限」に該当します。

 

「期限」とは、将来発生することが確実な事実に、行政行為の効力の発生(始期)または、消滅(終期)を連動させる附款です。
設定した期日がきたら当然に、行政行為の効力が、発生または消滅します。

 

「条件」とは、将来発生することが不確実な事実に、行政行為の効力の発生(停止条件)または、消滅(解除条件)を連動させる附款です。
条件が成就したら当然に、行政行為の効力が、スタート(発生)またはストップ(消滅)します。

選択肢5. 行政行為の附款において、行政庁が負担として課すことができるのは作為義務に限られ、不作為義務を課すことはできない。

妥当でない
「不作為義務を課すことはできない」としているところが誤りです。

 

不作為義務も課すことができます。

作為義務とは、「何かをすること」を求める義務、

不作為義務とは、「何かをしないこと」を求める義務のことです。

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