行政書士 過去問
令和7年度
問6 (憲法 問4)
問題文
内閣総理大臣に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
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問題
行政書士試験 令和7年度 問6(憲法 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
内閣総理大臣に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていたが、実際の運用では、他の国務大臣と対等な地位にあるものとして扱われていた。
- 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決により指名されるが、衆参両院で指名の議決が異なった場合には、衆議院の議決が優越する。
- 内閣総理大臣に事故のあるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を行うが、その場合でも、衆議院の解散のような内閣総理大臣に一身専属的な権限は行使できないと解されている。
- 国務大臣は、内閣総理大臣の同意がなければ、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された国務大臣は、内閣総理大臣の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
- 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
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この過去問の解説 (3件)
01
本問は、内閣総理大臣の憲法上の地位・権限に関する総合問題といえます。大日本帝国憲法との比較、指名・衆議院の優越、臨時職務の権限範囲、国務大臣の特権、法律・政令の署名制度という5つの論点が出題されており、条文の正確な知識が求められます。
妥当でない
大日本帝国憲法には「内閣」や「内閣総理大臣」に関する明文規定が存在しませんでした。内閣制度は「内閣官制」という勅令に基づいて運用されており、内閣総理大臣は他の国務大臣と対等な「同輩中の首席」にすぎないとされていました。「大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていた」という部分が誤りです。
妥当でない
憲法67条1項は「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」と規定しています。「衆議院議員の中から」ではなく、参議院議員からも指名可能です。後半の「衆参両院で指名の議決が異なった場合には衆議院の議決が優越する」という部分は正しいです(憲法67条2項)。
妥当でない
内閣法9条に基づき、内閣総理大臣に事故があるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を行います。前半部分は正しいですが、後半の「衆議院の解散のような一身専属的な権限は行使できないと解されている」という部分について、政府の公式見解および多数説では、臨時代理も内閣総理大臣の職務を全面的に代行でき、衆議院解散のための閣議主宰等も法的には制限されないとされていることから、「権限は行使できない」としている点が誤りです。
妥当でない
①国会議員の不逮捕特権(憲法50条):国会議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば会期中釈放しなければならない。
②国務大臣の訴追に関する特典(憲法75条):国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない。
①と②の条文の語句を入れ換えて出題しているひっかけ問題です。
妥当である
憲法74条は「法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする」と規定しており、本選択肢は条文の通りとなっています。
条文の一字一句(誰が、どこに、いつまでに等)の置き換え問題はよくあるパターンです。
「国会議員の中から」、「主任大臣が署名、内閣総理大臣が連署」、議員の不逮捕=議院の許諾、国務大臣の訴追=首相の同意などを間違えて記憶しないように復習が必要です。
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02
内閣総理大臣に関して問われています。
誤りです。
内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では同輩中の首席として他の国務大臣と対等に近い地位にありました。
誤りです。
内閣総理大臣は、衆議院の中からではなく国会議員の中から国会の議決によって指名されます。
また衆参両院で指名の議決が異なった場合には、両院協議会が開催されて、両院協議会でも衆参両院で指名の議決が異なったときには衆議院の議決が優越します。
誤りです。
内閣総理大臣に事故のあるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を行います。
しかし、臨時の内閣総理大臣でも衆議院の解散はできます。
誤りです。
不逮捕特権は、国会議員の特権であって国務大臣に同様の規定はありません。
正しいです。
憲法74条の法律・政令の連署で定められている通りです。
本問は正解肢が重要な条文知識からそのままの出題のため、他の選択肢に惑わされずに正解したいところです。
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03
この問題では、条文を正しく理解しているかが問われています。
妥当でない
「内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていた」が誤りです。
大日本帝国憲法(明治22年2月11日公布)に、内閣総理大臣の規定はなく、天皇は国の元首で統治権を総攬し、国務大臣は、天皇を補佐し、その責任を負うことが定められていました。
このことから、内閣総理大臣は、天皇が任命する国務大臣の1人として、他の国務大臣と同等に位置づけられていたといえます。
なお、このときの「内閣総理大臣」という官職は、「内閣官制」(明治22年12月24日公布)という勅令の中で、内閣を構成する各国務大臣の首長と位置づけられていました。
ここで、内閣総理大臣は行政各部の処分・命令を中止させることができると定められていましたが、最終的な判断権限は天皇にありました。
よって、戦前の内閣総理大臣の権限は、他の国務大臣に比べて強くはなかったといえます。
妥当でない
「内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決により指名される」が誤りです。
「衆議院議員の中から」だけでなく、参議院議員から選ぶこともできます。
日本国憲法
第67条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
妥当でない
「衆議院の解散」を「内閣総理大臣に一身専属的な権限」としているところが誤りです。
「衆議院の解散」は、内閣の権能です。
日本国憲法
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
三 衆議院を解散すること。
内閣法
第9条 内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。
妥当でない
不逮捕特権は、国会議員が対象の制度であり、国務大臣の特権ではありません。
また、国会議員の会期中の逮捕・釈放について、内閣総理大臣は関与しません。
日本国憲法
第50条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
国会法
第33条 各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。
第34条の3 議員が、会期前に逮捕された議員の釈放の要求を発議するには、議員20人以上の連名で、その理由を附した要求書をその院の議長に提出しなければならない。
妥当である
憲法74条を参照してください。
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