行政書士 過去問
令和7年度
問4 (憲法 問2)
問題文
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
行政書士試験 令和7年度 問4(憲法 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
- 公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない。
- 報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。
- 不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存し、当然に認められるものではない。
- 報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、法の下の平等には反しない。
- 報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (1件)
01
憲法21条1項では、表現の自由が保障されています。
日本国憲法
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
「報道の自由」は、権力による情報統制を防ぎ、国民に正しい情報を提供することで、国民の「知る権利」に奉仕するものとして、憲法21条1項で保障されています。
「取材の自由」は、報道が正しい内容を持つための手段であることから「十分に尊重に値する」にとどまり、憲法21条1項で保障されてはいません。
妥当である
最高裁は、「報道の自由」は「憲法21条の保障のもとにある」とし、「取材の自由」については、報道機関による報道が正しい内容を持つためには、「憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する」ものとしました。
一方で、公正な裁判の実現を優先して、ある程度の制約を受けることがあるのも否定できないとしました。
(博多駅テレビフィルム提出命令事件/最大決昭44.11.26)
妥当である
「取材の自由」は、「報道の自由」の前提として「十分に尊重に値する」とされています。
しかし、元記者の取材方法は、相手の人格を著しく侵害し、正当な取材活動の範囲を逸脱するものと判断されました。
(西山記者事件/最決昭53.5.31)
妥当である
反論権(反論文掲載請求権)が、憲法21条1項によって保障されるかが争点となった事案です。
憲法21条1項は、私人関については直接適用することはできず、「表現の自由」から反論権が導き出されるものでもないとしました。
また、民法723条の名誉毀損における原状回復においても、権利の根拠がないので反論権を認めることはできないとしました。
さらに、反論権を認めることで「特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれ」があると指摘し、反論権は認められないとしました。
よって、憲法21条1項においても保障されていません。
(サンケイ新聞事件/最判昭62.4.24)
妥当である
最高裁は、憲法21条1項が保障する「表現の自由」の必要性を示し、一般の傍聴人が法廷でメモを取る行為は、「その見聞する裁判を認識、記憶するためになされるものである限り、尊重に値し、故なく妨げられてはならない」としました。
一方で、憲法14条1項が保障する「法の下の平等」は、「絶対的な平等を保障したものではなく、合理的理由なくして差別することを禁止する趣旨」であるとしたうえで、「報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、合理性を欠く措置ということはできない」として、憲法14条1項に違反しないと述べました。
(レペタ事件(法廷メモ訴訟)/最大判平元.3.8)
日本国憲法
第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
妥当でない
「民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない」としているところが誤りです。
民事訴訟法197条1項3号は、「職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合」には、証人は、証言を拒むことができると規定しています。
最高裁は、報道関係者の取材源は、「報道機関の業務に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になる」ものとし、「取材源の秘密は職業の秘密に当たるというべきである」としました。
ただし、「職業の秘密」に当たるからといって、直ちに証言拒絶が認められるものではなく,「秘密の公表によって生ずる不利益と証言の拒絶によって犠牲になる真実発見及び裁判の公正との比較衡量より決せられるというべきである」とし、その比較衡量の結果、報道関係者の取材源は、「保護に値すると解すべきであり、証人は、原則として、当該取材源に係る証言を拒絶することができる」と判断されました。
(NHK記者証言拒絶事件/最決平18.10.3)
民事訴訟法
第197条 次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
1 第191条第1項の場合
2 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
3 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合
なお、刑事事件における証言拒絶の事案では、最高裁は「新聞記者は、取材源に関する証言を拒む特別の権利を憲法21条から直接に導くことはできない」として、証言の拒絶は認められないとしました。(石井記者事件/最大判昭27.8.6)
参考になった数6
この解説の修正を提案する
前の問題(問3)へ
令和7年度 問題一覧
次の問題(問5)へ