行政書士 過去問
令和7年度
問3 (憲法 問1)
問題文
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問題
行政書士試験 令和7年度 問3(憲法 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
- 尊属殺を通常の殺人よりも高度の道義的非難に値するものとみなし、その刑罰を通常の殺人よりも加重する規定については、社会的身分による差別を行うものとして、通常よりも厳格な基準でその合憲性が審査されなければならない。
- 所得税の賦課・徴収に際して、給与所得者と自営業者等との間で異なる取り扱いを行う法律の規定については、それが人種・信条・性別など憲法14条1項の列挙する事由による差別に該当しないので、立法者の裁量を広く認めることができる。
- 女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定の合憲性を判断する際には、性別による差別が憲法24条にいう個人の尊厳と深く関わるため、性別以外による法的取り扱いの区別に比べて厳格な基準で審査が行われなければならない。
- 子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきだという考えが確立されてきており、嫡出でない子の法定相続分を差別する規定の合理性は失われている。
- 憲法25条の定める生存権は個人の尊厳と密接に関係する権利であり、これに関係する法的取り扱いの区別の合憲性については、立法者がその裁量を踰越していないか厳格かつ慎重に審査されなければならない。
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この過去問の解説 (2件)
01
「法の下の平等」という考え方は、日本国憲法の三大原則のうち「基本的人権の尊重」に関係しています。
日本国憲法
第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
ここで、「法の下の平等」が意味するのは、「法律を個人に平等に適用すること」と「法律の内容に差別を加えず、平等であること」です。
妥当でない
「尊属殺を通常の殺人よりも高度の道義的非難に値するものとみなし、その刑罰を通常の殺人よりも加重する規定」を設けることについては、合憲とされているので、誤りです。
尊属殺の法定刑が、死刑および無期懲役刑のみという極めて重い刑に限られていることが、著しく不合理な差別的取扱いであるとして、憲法14条1項に違反するとしました。
(尊属殺重罰規定違憲判決/最大判昭48.4.4)
妥当でない
「それが人種・信条・性別など憲法14条1項の列挙する事由による差別に該当しないので」としているところが、誤りです。
最高裁は、そもそも憲法14条1項は、人種、信条、性別、社会的身分又は門地によるだけではなく、「国のすべての統治行動に及ぶ」としました。
その上で、「国民各自の事実上の差異に相応して法的取扱いを区別することは、その区別が合理性を有する限り、憲法14条1項に違反するものではない」としています。
つまり、人種・信条・性別などの事由に該当しないからという理由ではなく、「租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別」に合理性があるから、憲法14条1項に違反するものではないとしました。
(サラリーマン税金訴訟(大島訴訟)/最判昭60.3.27)
妥当でない
民法改正により、令和6年(2024年)4月1日から。女性の再婚禁止期間の規定は削除されました。
妥当である
そのとおりです。
判例:非嫡出子相続分意見決定(最大決平25.9.4)
妥当でない
「立法者がその裁量を踰越していないか厳格かつ慎重に審査されなければならない」としているところが、誤りです。
「憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄である」としています。
(堀木訴訟/最大判昭57.7.7)」
日本国憲法
第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
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02
本問は、憲法14条「法の下の平等」について、最高裁判所が実際にどのような論理構成・審査基準で合憲・違憲の判断を行ってきたかを問う問題です。採用している判例は、尊属殺重罰規定、サラリーマン税金訴訟、女性の再婚禁止期間、非嫡出子法定相続分、堀木訴訟等の5つです。
妥当でない
尊属殺重罰規定違憲判決(最大判昭和48年4月4日)
最高裁は、尊属殺を通常の殺人より重く罰すること自体(立法目的)は合憲としました。しかし、法定刑が「死刑または無期懲役」のみに限定されている点について、刑の加重の程度が極端であり、立法目的達成の手段として著しく不合理であるとして違憲と判断しました。
妥当でない
サラリーマン税金訴訟(最大判昭和60年3月27日)
最高裁は、給与所得者と自営業者の課税上の差異について、租税制度の技術的・専門的性格を理由に立法府の広い裁量を認め、「著しく不合理であることが明白でない限り」違憲とはならないとして合憲としました。しかし、広い裁量を認めた根拠は「14条1項の列挙事由に該当しないから」ではありません。14条1項の列挙事由(人種・信条・性別・社会的身分・門地)は例示的なものであり、列挙事由に該当しないことが直ちに緩やかな審査を正当化するわけではないというのが判例の立場です。
妥当でない
再婚禁止期間違憲判決(最大判平成27年12月16日)
最高裁は、女性のみに再婚禁止期間を設ける規定について、父性の推定の重複を回避するという立法目的には合理性を認めつつ、100日を超える部分は目的との合理的関連性を欠くとして違憲と判断しました。しかし、「性別による差別を他の区別より厳格な基準で審査が行われなければならない」とは述べていません。
妥当である
非嫡出子法定相続分規定違憲決定(最大決平成25年9月4日)
最高裁は、嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条4号ただし書の規定について、遅くとも平成13年7月の時点において合理的根拠を失っており、憲法14条1項に違反すると判断しました。家族形態の多様化、国民意識の変化、国際的動向、諸外国の立法例の変化等を踏まえると、規定の合理性は失われている、という判断が下された重要判例です。
妥当でない
堀木訴訟(最大判昭和57年7月7日)
最高裁は、生存権(憲法25条)の具体化に関する立法について、国の財政事情や社会経済の動向など多面的な考慮が必要であるとして、立法府に極めて広い裁量を認めています。法的区別が「著しく合理性を欠き、明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ないような場合」に限り違憲となるという緩やかな審査基準であり、「厳格かつ慎重に」審査されるわけではありません。
法の下の平等(憲法14条)は行政書士試験の最頻出テーマの一つです。対策としては判例の「結論」と「理由付け」をセットで押さえることが重要で、本問のように、理由付けをすり替えるパターンに注意です。「合憲/違憲」だけでなく、「なぜそう判断したか」まで整理する必要があります。
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