行政書士 過去問
令和7年度
問47 (基礎知識 問1)

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問題

行政書士試験 令和7年度 問47(基礎知識 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

日本の住民投票に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
  • 市町村合併の当否をめぐり住民投票が行われた事例はない。
  • 住民投票を実施するために制定される住民投票条例には、投票すべき課題に関してその都度制定される個別型と、将来に備えてあらかじめ住民投票の手続等を定めておく常設型がある。
  • 地方公共団体が整備する公共施設の建設の当否について住民投票が行われた事例はない。
  • 原子力発電所の設置に関して住民投票が行われた事例はない。
  • いわゆる大阪都構想(大阪市を廃止して特別区を設置する構想)をめぐる住民投票は、国会決議に基づいて実施された。

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この過去問の解説 (3件)

01

住民投票には、主に4つのケースがあります。


①「日本国憲法」に規定する地方自治特別法制定に関する住民投票
②「地方自治法」に規定する議会解散や議員・長等の解職の直接請求による住民投票
③「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に規定する特別区の設置に関する住民投票
④住民からの請求、または自治体の発案で制定される「住民投票条例」による住民投票

 

ここでは、③と④の住民投票について問われています。
なお、④の住民投票は、法的拘束力を伴わないことも多く、投票権も自治体独自の判断で幅広く認めたケースもあります。

選択肢1. 市町村合併の当否をめぐり住民投票が行われた事例はない。

妥当でない

 

市町村合併の当否をめぐる住民投票は、多くの事例があり、特に「平成の大合併」が行われた時期には、全国各地で実施されました。

 

なお、「平成の大合併」とは、1999年から2010年にかけて、政府により全国的に推進された市町村合併のことで、人口減少・少子高齢化等の社会経済情勢の変化や行政基盤の確立を目的として行われました。

選択肢2. 住民投票を実施するために制定される住民投票条例には、投票すべき課題に関してその都度制定される個別型と、将来に備えてあらかじめ住民投票の手続等を定めておく常設型がある。

妥当である

 

「住民投票条例」とは、地方自治法の制度ではなく、地方公共団体固有の課題や手続き等に関し、直接住民の意思を問うために、地方公共団体が独自に制定した条例のことです。

選択肢3. 地方公共団体が整備する公共施設の建設の当否について住民投票が行われた事例はない。

妥当でない

 

地方公共団体が整備する公共施設の建設の当否をめぐる住民投票は、産廃処理場の建設や可動堰の建設など、全国各地で多くの事例があります。

選択肢4. 原子力発電所の設置に関して住民投票が行われた事例はない。

妥当でない

 

原子力発電所の設置に関する住民投票は、1996年8月に新潟県巻町(現在の新潟市)において、全国で初めて実施されました。
 

そのほか、2001年5月に新潟県刈羽村、同年11月に三重県海山町(現在の紀北町)でも実施されています。
 

選択肢5. いわゆる大阪都構想(大阪市を廃止して特別区を設置する構想)をめぐる住民投票は、国会決議に基づいて実施された。

妥当でない

 

大阪都構想の住民投票は、「大都市地域における特別区の設置に関する法律(大都市法)」に基づいて実施されました。

 

なお、大阪都構想は、大阪市の24区を再編して4つの特別区を設置し、大阪府と大阪市の広域行政を統合することにより、二重行政の解消を目的としています。

 

また、「大都市地域における特別区の設置に関する法律(大都市法)」とは、道府県内の人口200万以上の指定都市、または指定都市と隣接する総人口が200万以上の市町村を廃止して、特別区を設置するために必要な手続きや行政・財政の分担を定めた法律です。

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02

日本の住民投票に関する問題です。

 

本問では「事例はない」という断定的な表現に違和感を感じることができれば、それぞれ述べられている知識について詳しく知らなくても消去法で正答できる内容です。

選択肢1. 市町村合併の当否をめぐり住民投票が行われた事例はない。

2000年代には市町村合併をめぐって住民投票が数多く行われた事例があり、不適切な選択肢となります。

選択肢2. 住民投票を実施するために制定される住民投票条例には、投票すべき課題に関してその都度制定される個別型と、将来に備えてあらかじめ住民投票の手続等を定めておく常設型がある。

・「個別型」:投票すべき課題に関してその都度制定される

原子力発電所の誘致など

 

・「常設型」:将来に備えてあらかじめ住民投票の手続等を定めておく

具体的な実施要件(署名数など)を条例で定める住民投票制度

 

以上から、正解の選択肢となります。

選択肢3. 地方公共団体が整備する公共施設の建設の当否について住民投票が行われた事例はない。

地方公共団体が整備する公共施設の建設の当否について住民投票が行われた事例は数多くあり不適切な選択肢となります。

選択肢4. 原子力発電所の設置に関して住民投票が行われた事例はない。

原子力発電所の設置に関して住民投票が行われた事例は複数回あり不適切な選択肢となります。

選択肢5. いわゆる大阪都構想(大阪市を廃止して特別区を設置する構想)をめぐる住民投票は、国会決議に基づいて実施された。

大阪都構想をめぐる住民投票は、国会決議に基づいて実施されていないため不適切な選択肢となります。

参考になった数1

03

本問は、日本における住民投票制度の仕組み(条例の分類)と実施事例の有無、法的根拠の正確な理解を問う問題です。

 

分類法的根拠法的拘束力代表例
憲法・地方自治法に基づく住民投票憲法95条、地方自治法あり特別法の住民投票、リコールの投票
条例に基づく住民投票(個別型・常設型)各自治体の条例原則なし(諮問型)巻町原発住民投票
個別法に基づく住民投票大都市地域特別区設置法、合併特例法 等あり大阪都構想の住民投票

選択肢1. 市町村合併の当否をめぐり住民投票が行われた事例はない。

妥当でない

「平成の大合併」(1999年〜2010年頃)を中心に、合併の賛否を問う住民投票は全国各地で多数実施されています。合併特例法においても、合併協議会の設置を住民投票で請求できる制度が設けられており、合併の当否は住民投票の最も代表的なテーマの一つです。

選択肢2. 住民投票を実施するために制定される住民投票条例には、投票すべき課題に関してその都度制定される個別型と、将来に備えてあらかじめ住民投票の手続等を定めておく常設型がある。

妥当である

条例に基づく住民投票は、特定の課題が生じた際に、その都度条例を制定して実施する個別型と、あらかじめ住民投票の対象・手続・発議要件等を包括的に定めておき、要件を満たせば随時実施できる常設型の2種類あります。

本肢の記載は妥当です。  

選択肢3. 地方公共団体が整備する公共施設の建設の当否について住民投票が行われた事例はない。

妥当でない

公共施設や大型公共事業の是非を問う住民投票は多数実施されています。代表的な事例として、新潟県巻町・原子力発電所建設、高知県窪川町・原子力発電所建設、沖縄県名護市・米軍基地関連施設等が挙げられます。住民投票の対象は非常に幅広く、公共施設の建設の当否は主要なテーマとなります。

選択肢4. 原子力発電所の設置に関して住民投票が行われた事例はない。

妥当でない

原子力発電所に関する住民投票は日本の住民投票において最も有名な事例の一つです。

新潟県巻町(1996年)・・・原発建設の是非を問い、反対多数。日本初の条例に基づく住民投票として歴史的に重要な事例です。

三重県海山町(2001年)・・・原発立地計画について実施され、反対多数。

 

選択肢5. いわゆる大阪都構想(大阪市を廃止して特別区を設置する構想)をめぐる住民投票は、国会決議に基づいて実施された。

妥当でない

大阪都構想に関する住民投票(2015年・2020年の計2回実施、いずれも反対多数で否決)は、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(大都市地域特別区設置法、2012年制定)に基づいて実施されました。国会決議ではありません。重要な点として、一般的な条例型住民投票(諮問型・法的拘束力なし)と違い、住民投票は条例型ではなく法律に基づく法定型であり、投票結果に法的拘束力があるという特徴があります。

まとめ

学習ポイント

・住民投票の3分類の整理

・代表的事例はテーマ・年・自治体名をセットで暗記

・条例型住民投票の法的拘束力がないこと

 

住民投票は、地方自治法の直接請求制度(条例制定改廃請求・事務監査請求・議会解散請求・解職請求)とセットで出題されやすい分野です。

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