行政書士 過去問
令和6年度
問50 (一般知識等 問4)

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問題

行政書士試験 令和6年度 問50(一般知識等 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

日本における外国人に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア  外国籍の生徒も、全国高等学校体育連盟や日本高等学校野球連盟が主催する大会に参加することができる。
イ  より広い業種での外国人の就労を可能とするために新たに設けられた在留資格「特定技能1号」には、医師も含まれる。
ウ  徴税など、いわゆる公権力の行使にあたる業務を含め、外国籍の者も全国の全ての自治体で公務員として就労することができる。
エ  名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人女性が2021年に死亡し、その遺族が国家賠償請求訴訟を行った。
オ  特別永住者を含む外国人には、日本への入国時に指紋と顔写真の情報の提供が義務付けられている
  • ア・イ
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この過去問の解説 (3件)

01

外国人の権利に関する問題です。

判例(最判昭和53.10.4)は、憲法第3章の基本的人権の保障は権利の性質上日本国民をその対象にしていると解されるものを除き、外国人にも等しく及ぶとしています。

外国人に認められる権利と認められない権利を整理して理解しておきましょう。

 

選択肢1. ア・イ

ア 〇

外国人留学生についても一定の要件を満たせば全国高等学校体育連盟が主催するいわゆる総体(インターハイ)や日本高等学校野球連盟が主催する甲子園大会の参加が認められます。

 

イ ×

特定技能1号には製造や建設・介護・サービス業などが含まれます。

しかし医師は含まれません。

 

選択肢2. ア・エ

ア 〇

外国人留学生についても一定の要件を満たせば全国高等学校体育連盟が主催するいわゆる総体(インターハイ)や日本高等学校野球連盟が主催する甲子園大会の参加が認められます。

 

エ 〇

スリランカ人女性が名古屋出入国在留管理局で2021年に死亡し、その遺族が国家賠償請求訴訟を行った事件(ウィシュマさん死亡事件)でその遺族は国家賠償を求めて提訴しました。

選択肢3. イ・ウ

イ ×

特定技能1号には製造や建設・介護・サービス業などが含まれます。

しかし医師は含まれません。

 

ウ ×

自治体の一般事務職員資格の中にはその採用試験の受験資格を「日本国民に限る」としているものもあります。

内閣法制局は「外国人が公権力の行使、公の意思形成に参加できないことからくる当然の法理」という見解を示して自治体を指導してきました。

選択肢4. ウ・オ

ウ ×

自治体の一般事務職員資格の中にはその採用試験の受験資格を「日本国民に限る」としているものもあります。

内閣法制局は「外国人が公権力の行使、公の意思形成に参加できないことからくる当然の法理」という見解を示して自治体を指導してきました。

 

オ ×

判例は(最判平7.12.15)は、何人も私生活上の自由の一つとしてみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有しており、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、憲法13条の趣旨に反し許されないとしています。

選択肢5. エ・オ

エ 〇

スリランカ人女性が名古屋出入国在留管理局で2021年に死亡し、その遺族が国家賠償請求訴訟を行った事件(ウィシュマさん死亡事件)でその遺族は国家賠償を求めて提訴しました。

 

オ ×

判例は(最判平7.12.15)は、何人も私生活上の自由の一つとしてみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有しており、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、憲法13条の趣旨に反し許されないとしています。

まとめ

外国人に認められない権利としては、

・国政選挙権

・相互保証がない場合の国家賠償請求権(国家賠償法6条)

公権力の行使、公の意思形成に参画する公務員試験資格

があります。

また地方選挙権については憲法上の保障は及ばないですが、法律で付与することは可能とされます。(最判平7.2.28)

 

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02

本問は、日本で生活する外国人(=日本国籍を有しない者)の処遇についての網羅的な知識の問題です。
ほとんど知っているか否かだけで決まる問題ですが、肢の組み合わせで正解を導くことはできると思います。


アは妥当です。

全国高等学校体育連盟の主催する大会とは、具体的に言えば全国高等学校総合体育大会(通称インターハイ)です。
高体連の公式サイトにある「外国人留学生の全国高校総体参加について」という文書冒頭に、
「外国人留学生の全国高校総体(以下「インターハイ」という)参加については、開催基準要項「12」の大会参加資格を有し、在籍する高等学校を卒業する目的で入学した生徒(短期留学は不可)であることが定められている。」
とあります。

また、日本高等学校野球連盟には国籍に係る一切の規定がありません。


ちなみに王貞治氏は、外国籍ですが甲子園大会で大活躍したことは皆さんご存じでしょう。一方で、国籍条項のある国民体育大会には出場できませんでした。

勝敗への影響が大きすぎることから例えば駅伝の留学生選手の出場制限などはありますが、すべての競技において外国籍の生徒の参加自体を全面的に禁止する必要性まではありません。
外国籍であるというだけで学生スポーツの大会から締め出さなければならない合理的な理由がない以上、この肢は正しいと予想できると思います。


 

イは妥当ではありません
特定技能とは全部で29種類ある外国人の在留資格のうちの一つですが、医師は別の在留資格である「医療」に区分されます。

 

なお、在留資格に関する手続きは、地方出入国在留管理局に本人が出頭する必要がありますが、申請取次行政書士による代理申請も可能です。

 

出入国管理及び難民認定法施行規則第6条の2「法第7条の2第1項の規定により在留資格認定証明書の交付を申請しようとする者は、別記第6号の3様式による申請書一通を地方出入国在留管理局に出頭して提出しなければならない。
(第2号及び第3号略)
4 第1項の規定にかかわらず、地方出入国在留管理局長において相当と認める場合には、本邦にある外国人又は法第7条の2第2項に規定する代理人(以下「外国人等」という。)は、地方出入国在留管理局に出頭することを要しない。この場合においては、次の各号に掲げる者(第1号及び第2号については、当該外国人等から依頼を受けた者)が、当該外国人等に代わつて第1項に定める申請書並びに第2項に定める写真及び資料の提出を行うものとする。
(第1号略)
二 弁護士又は行政書士で所属する弁護士会又は行政書士会を経由してその所在地を管轄する地方出入国在留管理局長に届け出たもの
(第3号略)
(第5項以下略)

 

上記の「行政書士で所属する行政書士会を経由してその所在地を管轄する地方出入国在留管理局長に届け出たもの」を申請取次行政書士と呼びます。

 


ウは妥当ではありません
公権力を行使する公務員については、国籍条項があります。
また、公権力を行使する公務員以外であっても、すべての自治体において国籍条項がないわけではありません。

 

外国人の公務就任権については、行政実務では、「公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには、日本国籍を必要とする」という内閣法制局の見解に従い、「公権力の行使又は国家意思の形成への参画にたずさわる公務員」は、日本国籍を必要とするようになっています。

また、当然の法理かどうかはともかくとしても、最高裁も、公権力の行使又は国家意思形成への参画に関与する公務員については日本国籍を必要とするという見解に立っています。

 

最大判平成17年1月26日裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

「地方公務員のうち,住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するな
どの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするもの(以下「公権力行使等地方公務員」という。)については,……原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり,我が国以外の国家に帰属し,その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは,本来我が国の法体系の想定するところではない」

 


エは妥当です。
通称、ウィシュマさん死亡事件とも言いますが、名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ国籍の女性が、体調不良を訴えていたにもかかわらず同管理局が適切な対応を執らなかったために死亡したとして遺族が提起した国家賠償請求訴訟が現在係争中です。

 

これはニュースを見ていれば知っているでしょう。

 

 

オは妥当ではありません
現在、指紋の押捺は特別永住者には義務付けられていません。

 

出入国管理及び難民認定法第6条第3項「前項の申請をしようとする外国人は、入国審査官に対し、申請者の個人の識別のために用いられる法務省令で定める電子計算機の用に供するため、法務省令で定めるところにより、電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式をいう。以下同じ。)によつて個人識別情報(指紋、写真その他の個人を識別することができる情報として法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)を提供しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
一 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)に定める特別永住者(以下「特別永住者」という。)
(第2号以下略)

 


なお、外国人登録法(2012年に廃止)に基づく指紋押捺が問題になった事案について最高裁は、指紋押捺を強制されない自由は憲法第13条により保障され、その保障が外国人にも及ぶことを認めたうえで、指紋押捺義務を定める外国人登録法の規定は憲法に違反しないと判断しました。

 

最判平成7年12月15日裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

「憲法一三条は、国民の私生活上の自由が国家権力の行使に対して保護されるべきことを規定していると解されるので、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も みだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するものというべきであり、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、同条の趣旨に反して許されず、また、右の自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶと解される」

「しかしながら、右の自由も、国家権力の行使に対して無制限に保護されるもので はなく、公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受けることは、憲法一三条に定められているところである。 」

「外国人登録法が定める在留外国人についての指紋押なつ制度についてみると、同制度は、昭和二七年に外国人登録法(……)が立法された際に、同法一条の「本邦に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、もって在留外国人の公正な管理に資する」 という目的を達成するため、戸籍制度のない外国人の人物特定につき最も確実な制度として制定されたもので、その立法目的には十分な合理性があり、かつ、必要性も肯定できるものである。」

「本件当時の制度内容は、押なつ義務が三年に一度で、押なつ対象指紋も一指のみであり、加えて、その強制も罰則による間接強制にとどまるものであって、精神的、肉体的に過度の苦痛を伴うものとまではいえず、方法とし ても、一般的に許容される限度を超えない相当なものであったと認められる。 右のような指紋押なつ制度を定めた外国人登録法14条1項、18条1項8号が憲法13条に違反するものでないことは当裁判所の判例(……)の趣旨に徴し明らかであり、所論は理由がない」

 

 

以上により、妥当なものはアとエです。

選択肢1. ア・イ

アは妥当です

イは妥当ではありません

よってこの肢は正解ではありません

選択肢2. ア・エ

ア、エともに妥当です。

よってこの肢が正解です。

選択肢3. イ・ウ

イ、ウともに妥当ではありません。

よってこの肢は正解ではありません。

選択肢4. ウ・オ

ウ、オともに妥当ではありません。

よってこの肢は正解ではありません。

選択肢5. エ・オ

エは妥当です

オは妥当ではありません

よってこの肢は正解ではありません

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03

日本における外国人問題についての出題です。

選択肢1. ア・イ

不適切な選択肢です。

選択肢2. ア・エ

適切な選択肢です。

ア正しいです。

全国高等学校体育連盟や日本高等学校野球連盟は、規定に基づき外国籍の生徒の大会参加を認めています。

 

イ誤りです。

在留資格「特定技能1号」の分野は介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(工業製品製造業に統合)、林業・木材産業などの16分野です。医師は在留資格「医療」となります。

 

ウ誤りです。

公権力の行使にあたる業務を行う公務員については、日本国籍が必要であるという原則があります。

よって全ての自治体であらゆる業務に就労できるわけではありません。

憲法の判例など関わり合いのある選択肢です。

 

エ正しいです。

本問の通りです。

 

オ誤りです。

原則として16歳以上の外国人は入国時の指紋採取・顔写真撮影の提供が義務付けられています。

しかし、特別永住者は対象外です。

選択肢3. イ・ウ

不適切な選択肢です。

選択肢4. ウ・オ

不適切な選択肢です。

選択肢5. エ・オ

不適切な選択肢です。

まとめ

行政書士は入管業務を扱うことができます。

本問は合格後の実務を見通して正解したい問題です。

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